【今週の一枚】
Sam Akpro - Evenfall [ANTI- 2025]
サウス・イースト・ロンドンを拠点に活動するシンガーソングライターにしてプロデューサーSam Akproのデビュー・アルバム。
2019年の「Night's Away」でシーンに登場し2021年の「Drift」と2023年の「Arrival」の2枚のEPで注目を集めた彼、満を持して名門ANTI-レーベルから今作を発表した。
数多くの異色のアーティストが蠢くサウス・ロンドンの音楽シーンにあってもその存在は異彩を放っていると言えるだろう。
ガンビア人の母とコートジボワール出身の父を持つ彼、キングストン大学で生物医学を専攻していたのを中退してミュージシャンになったという経歴の持ち主だ。
その音楽はジャンルレスと称されることが多いようだが、あえて言えばポスト・パンクの系譜に連なるサウンドのように感じられた。
タイトル・トラックの「Evenfall」と「Tunnel Vision」、そして「Gone West」がシングル・カットされているが個人的には唯一の共作曲である2曲目の「Death By Entertainment」に深い感銘を受けた次第。
独創性に溢れ狂気を孕んだそのサウンド・スケープは実に中毒性の高いものだと言えるだろう。