2026年1月29日木曜日

待望














 【今週の一枚】














Sturle Dagsland - Dreams And Conjurations [Sturle Dagsland 2025]

ノルウェーの奇才デュオSturle Dagslandによる4年ぶりのセカンド・アルバム。

Sturle DagslandとSjur Dagslandの兄弟によるこのユニット、ライブではCarl Tomas Nisingと

Eirik O. Heggenの二人のサポート・メンバーが参加する事が多いようだ。

2021年の1stを聴いたときにそのエクストリーム極まりないサウンドに度肝を抜かれたものだが、今作も同等かそれ以上のインパクトと言えるだろう。

変幻自在ともいえるSturleのボーカルは唯一無二であり、ベクトルは違えどコクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーの全盛期をすら彷彿とさせる。

エレクトロニクスを駆使しつつ北欧の伝統的な民族楽器やアフリカのコラ、中国の古筝など世界中の楽器を使用し、重層的なサウンドを構築している様は本当に圧倒的だ。

アバンギャルドでエクスメンタルでありつつどこか牧歌的な側面をも持ち合わせた音世界、実に不思議な魅力をたたえている。

1stリリース後の初来日公演はスケジュールの都合で泣く泣く諦めたのだが、来週末金曜日に青山の「月見ル君想フ」で遂にそのパフォーマンスを初めて観る事が出来る予定で、今から待ち遠しくて仕方がない。







2026年1月22日木曜日

















 【今週の一枚】














Ambre Ciel - still, there is the sea [Gondwana Records 2025]

カナダのモントリオール出身の作曲家兼シンガーAmbre Cielによるデビュー・アルバム。

Hania RaniやJasmine Myra等を擁する英Gondwana Recordsよりリリースされた。

ポスト・クラシカルの数々の名盤に名を連ねるに十分値する佳作と言えるだろう。

彼女は6歳でバイオリンを始め音楽生活をスタートし、正統派クラシック音楽を学びつつペダルエフェクトやループメロディーの実験にも没頭していたようだ。

大学では作曲と録音技術を専攻、本格的に音楽家への道に進む事を決断した模様。

アンビエントやミニマル・ミュージックにも造詣が深く、それらの音楽のエッセンスも大いに作品に反映されている。

幾つかのインストゥルメンタル作も挟みつつ、英語と自身の母国語の仏語の歌唱を披露しており、本当に美しい。

冬の冷たい空気のなかで聴くのにうってつけの作品のように思える。







2026年1月15日木曜日

001002











 

【今週の一枚】














Fred again.. - USB [Atlantic 2025]

昨年のフジロックで初来日を果たしヘッドライナーを務めたFred again..が2022年に始動した「無限に進化する」プロジェクト、USBシリーズの第二弾「USB002」のリリースに合わせ、「001」の楽曲も収録したアルバムが発表された。

彼曰くこのプロジェクトは「永遠に曲が追加されていく終わらない」ものであり、「うまくいけば、いつか200曲収録したい」と嘯いている。

2001年のデビュー作以来コンスタントにアルバムをリリースしてきたFred again..だがこのUSBプロジェクトはそれらの作品群とは性質が異なるものであり、様々なコラボレーション、ブートレグ、リミックスが含まれている。

「USB002」の展開にあたり10週間、10都市、10公演のパフォーマンスを開催するという企てを敢行したそうだ。

「001」と「002」を合わせた全34曲、収録時間2時間21分という超大作ではあるものの、驚く事に本当に捨て曲がない。

コラボレーターの陣容はSkrillex、Four Tet、Overmono、Swedish House Mafia、Floating PointsにCaribou等々、正に豪華絢爛で彼が多くの大物アーティストのレスペクトを集めているのが良くわかる内容となっている。

「USB003」のリリースが実に待ち遠しいが、彼の創作意欲の旺盛さを思うと、そんなに遠くない将来に聴く事が出来るのではないだろうか。












2025年12月25日木曜日

Selection 2025

 














01.Flowers - Sugar Cherry [Land of Pine]

02.choke enough - Oklou [choke enough]

03.Over for me - Claire days [I remember something]

04.Rocks - Daniel Ögren [Pine]

05.Caravan - Western Skies Motel [Trails]

06.Every Day There's a Sunrise - Jules Reidy [Ghost / Spirit]

07.Walk Home - Bon Iver [SABLE, fABLE]

08.In a Row - Perfume Genius [Glory]

09.Death by Entertainment - Sam Akpro [Evenfall]

10.Corinthians - billy woods [GOLLIWOG]

11.Thousand yard stare - kmoe [K1]

12.Endless Reminder - Richard Shelest [Sunny Season Is Over]

13.Take Care of Me - Annahstasia [Tether]

14.CSIRAC - Ninajirachi [I Love My Computer]

15.Dudu - yeule [Evangelic Girl is a Gun]

16.In a Trance - Rival Consoles [Landscape from Memory]

17.horcrux - Loyle Carner [hopefully !]

18.Lunch At Dune - Gordi & Soak [Like Plasticine]

19.The Passionate Ones - Nourished by Time [The Passionate Ones]

20.Spicy City - Malibu [Vanities]

21.broken well - Purity Ring [purity ring]

22.Reliquia - Rosalía [LUX]

23.weaponx - crushed [no scope]

24.GODSTAINED - Quadeca [Vanisher, Horizon Scraper]

今年の十枚

 














Quadeca - Vanisher, Horizon Scraper [X8 Music]

Rosalía - LUX [Columbia]

Purity Ring - Purity Ring [The Fellowship]

Geese - Getting Killed [Partisan Records]

Dijon - Baby [R&R]

kmoe - K1 [deadAir]

Billy Woods - Golliwog [Backwoodz Studioz]

Sam Akpro - Evenfall [ANTI-]

Jules Reidy - Ghost/Spirit [Thrill Jockey]

John Glacier - Like a Ribbon [Young]

Oklou - choke enough [True Panther Sounds]

2025年12月22日月曜日












 【今週の一枚】














Sugar Cherry - Land of Pine [X8 Music 2025

Sugar Cherryはデトロイト出身で現在フィラデルフィアを拠点として活動するシンガー・ソングライターにしてプロデューサーのAndrew Rozeyによるサイド・プロジェクト。

今回のアルバムはQuadeca主宰のX8 Musicよりリリースされ、オープニング・アクトとしてツアーを共にする関係なのだとか。

Rozeyはダークなエモトラップやゴスロックの括りのサウンドを標榜しているようだが、制作に六年の歳月が費やされたというこのプロジェクトは正統派インディー寄りの仕上がりとなっている。

52分の収録時間とやや長尺な作品だが19曲の楽曲は様々な表情を見せてくれており全く飽きさせない。

なかでも圧巻はラスト・トラックの「Ten Thousand Pine」でドローン・ミュージック調のトラックが不穏なムードを醸し出しつつ演奏されているのだが終盤にかけて怒涛のノイズが展開されており、Velvet Undergroudの往年の名曲「Heroin」や「Sister Ray」なんかが想起されてしまった。

Sugar Cherryとしてはこれが唯一にして最後の作品となるとの事だが、Rozeyとしての活動と並行しつつまたアルバムを作ってもらいたいものだ。



2025年12月15日月曜日
















 【今週の一枚】













Quadeca - Vanisher, Horizon Scraper [X8 Music 2025]

LA出身のシンガーにしてラッパーQuadecaことBenjamin Laskyによる4thアルバム。

彼の出自はユニークで11歳で自身のYoutubeアカウントを開設、ゲーム実況をしつつラップ・ミュージックに傾倒していき14歳でフリースタイルラップの動画をUPし始めたそうだ。

現在25歳の彼は既に10年以上のキャリアがあるワケだが、今回のアルバムも通り一遍のヒップ・ホップ作品とは一線を画す、正に一筋縄ではいかない内容となっている。

クラウド・ラップ、エモ・ラップの文脈で語られる事の多いQuadeca、アコースティック・サウンドやストリングスの絡め方が絶妙で、時にポエトリー・リーディング調になったり、オート・チューンでエフェクトがかけられたりする彼自身の歌唱も実に味わい深い。

先行シングルとなった「GODSTAINED」はフォークトロニカ調のトラックにポエトリー・リディングを絡めた流麗な佳曲で、アルバム終盤の「THE GREAT BAKUNAWA」ではDanny Brownをフィーチャー、攻撃的かつ強烈なラップを披露している。

この作品は海をテーマにしたコンセプトアルバムだそうで、フィリピンのカミギン島でQuadeca自身が撮影した映像作品もUPされている模様。

ネットから現れた若き才能による一大叙事詩的作品、存分に堪能したいトコロだ。