2026年7月28日火曜日

確かなこと





















 【今週の一枚】














Friko - Something Worth Waiting For [ATO Records 2026]

やっぱりダサくてエモくてサイコーだ。

シカゴのFriko、2年ぶりのセカンド・アルバム。

鮮烈なデビュー作「Where We've Been, Where We Go from Here」に続く作品とあって期待と不安が交錯するような感覚で聴き始めたが、全くの杞憂であった。

インディー・ミュージックのみならず、よく「セカンド・アルバムのジンクス」みたいなハナシで2枚目でコケるのも珍しくないが、彼らはそのジンクスをさらりと乗り越えてきた。

もともとフロントマンのNiko KapetanとドラマーのBailey Minzenbergerの二人組でライブの際はサポートの二人を加えて4人編成で演奏していたが、正式にベーシストのDavid FullerとギタリストのKorgan Robbがメンバーに加わり新生Frikoとして活動している模様。

もともとNikoのパッショネイトで強烈なボーカル・スタイルと爆音ギター、Baileyのダイナミックなドラム・プレイが持ち味だった彼等、4人組となった事で重厚感が増し、サウンドのスケールもデカくなった印象。

静と動の絶妙なバランスが持ち味でもあるFrikoの音楽だが、今回の作品でも躍動感溢れるトラックが並ぶなかにあって「Certainty」や「Dear Bicycle」のような静謐な美しさをたたえた楽曲も強い印象を残してくれる。

プロデューサーには数々のアーティストの作品を手掛けたJohn Congletonを迎え、アルバムは彼のLAのスタジオでレコーディングされた。

先般開催された今年のフジロックではRed Marqueeのステージに立ち、New OrderのCeremonyのカバーを披露しオーディエンスを魅了したようだ。







2026年7月14日火曜日

摩天楼

 










【今週の一枚】














Nirosta Steel - MY SKYSCRAPER [ULYSSA 2026]

Nirosta SteelことSteven Hallはスコットランド生まれの米国人アーティスト。

1957年生まれの彼は15歳で渡米、70年代からNYのアート・シーンに深く関わり、多くの芸術家と交流を持ったが、なかでも故Arthur Russellとは特別に親しい関係だったようだ。

今作「MY SKYSCRAPER」は約40年にわたる彼の音源アーカイブから厳選した楽曲をULYSSAレーベルとの提携のもと再構築し一枚のアルバムにまとめあげた作品である。

最も古い楽曲は80年代に録音され、最も新しい「FIRST LOVE」は昨年レコーディングされたというから本当に長い時間の隔たりがあるし、録音スタイルもアナログ・カセットから最新のデジタル機器に至るまでかなりバリエーションに富んでいるが、不思議な程に統一感がある。

ヴァイナル版だと2枚組、全17曲収録時間83分の大作だが、全く長さを感じさせない。

ちなみにオープニング・トラック「English Party」は元々Madonnaのために書かれたそうだ。

M14「Mohn (Mandarin Version)」では曲中に突然京劇の歌が流れて驚かされるが、これは京劇歌手の洪秋鳳によるものでStevenは台湾と香港に在住した経験があり広東語で歌った作品をリリースした事もあるのだとか。

またタイにも縁が深くM16「Thaitanium」はバンコクで制作されたようで、正に流浪の吟遊詩人と呼ぶに相応しいと言えるだろう。

インタビューに応えて「69歳でポップスターになるなんて、ばかばかしくて面白い」と嘯く彼だが、実にクールだと思える。






2026年7月7日火曜日

仔羊











 【今週の一枚】














Gustav Kemps - Lonesome For A Storm [Motion Ward 2026]

今年Cancer House の「The Moth」で注目を集めたLAのMotion Wardレーベルより、これまた異才とよぶべきアーティストの作品が発表された。

ベルリンのYorck StreetやFelicity J Lord等とのコラボレーションでも知られるGustav Kempsが初めて自らのソロ・アルバムをリリース。

これが極上の幽玄アンビエント・フォークに仕上がっている。

装飾を極限まで削ぎ落したアレンジはアコースティック・ギターの音色が主体となっており、電子音のエフェクトやフィールド・サンプリングのサウンドが非常に効果的に用いられている。

全てのインストゥルメンツの演奏はGustav自身によってなされ、3曲目の「Fog」とラスト・トラックの「Afterglow」でLily Beltaneによる美麗極まりない歌声が披露されているが歌唱というよりは楽器のひとつとしてのコーラス・ワークという印象が強い。

マスタリングはIke Zwanikkenによって為され、アートワークはJustus de Rodeの撮影した素材をもとにNathan Collisがデザインを担当した模様。

異形のミニマリズム・サウンド、存分に浸りたい。