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【今日の一枚】
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Gem - Hunters Go Hungry [Excelsior 2011]
ソリッド&タイトな演奏ぶりといい、粒揃いの楽曲といい、かなりイケてるオランダのロック・バンド。
アメリカのSpoonとか連想させられたなー。
【今日の一冊】
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城内 康伸 - 猛牛(ファンソ)と呼ばれた男 「東声会」町井久之の戦後史 [新潮文庫]
町井の半生には、米国のマフィアと共通した部分もある。マフィアはもともと、米国のマイナリティーとして虐げられたイタリア系移民が、差別に抗しようとして結集し、やがて暴力組織へと変質していったものだ。そのトップはある時期からビジネスの道に足を踏み入れると同時に、ときの権力と手を結ぶことによって、隠然たる影響力を行使するようになる。
一方、町井久行という日本名を名乗った在日韓国人・鄭建永(チョンコンヨン)は、右翼的色彩を帯びた民族団体の武闘派として戦後の歩みを始めた。そして、本人の思惑とは違って、世間では広域暴力団として扱われる「東声会」の首領となり、時の権力と関係を深めながら、実業家への転身を遂げていった。米国でのマフィアの歴史は長く続く。しかし、それとは対照的に日本の社会は町井の「過去」を決して、見逃さなかった。さらには、実業家として生きるには純粋に過ぎ、狡猾さに欠けた。
「あの人はそろばんをはじけるような人間じゃないんだよ。ヤクザ、『韓国』までで止めておけばよかったんだ」
町井の生きざまを知る元東声会幹部の言葉には、私が抱くのとほぼ同じ考えがにじんでいるように思う。
逆に純粋で、狡猾さに欠けたからこそ1500人もの組の親分になれたのかも。