2024年2月26日月曜日

ガールフレンド















 【今週の一枚】













Madi Diaz - Weird Faith [ANTI- 2024]

ナッシュヴィルを拠点に活動するフィメイルSSWの3年ぶりの6thアルバム。

出世作となった前作「History Of A Feeling」でANTI-レーベルに移籍した彼女、今作も引き続き同レーベルからのリリースとなっている。

Waxahatcheeや Angel Olsenのツアー・サポート・アクトを務めて来た経験もあるMadi Diazだが、昨年のHarry Stylesの北米ツアーの前座に抜擢された事でより一層注目を集める存在となったようだ。

ところでMatthew Sweetの1991年の傑作アルバム「Girlfriend」の表題曲は90年代屈指の名曲のひとつに挙げられるが今作の3曲目の同名曲も驚く程に素晴らしい。

彼女の声質は清楚で可憐な印象のものだが、歌われる内容はシリアスで刺激的なものが少なくなく、そのギャップが却って凄味を増す結果を生んでいると思う。

10曲目の「KFM」なんかはその典型というべき楽曲だが、共同作曲者としてJenny Owen Youngsがクレジットされているのにも驚かされた。

また8曲目の「Don't Do Me Good」はKacey Musgravesとの共演曲となっており、実力派アーティストからの信望が厚い事が窺える。

自身のポートレイトを採用したアートワークもとても魅力的だと思える。






2024年2月20日火曜日

密かに














 【今週の一枚】













Helado Negro - Phasor [4AD 2024]

2021年の前作「Far In」が好評を博したHelado Negroの4AD移籍第二弾となる8thアルバム。

イリノイ大学でSalvatore MatiranoのSAL-MARシンセサイザーを見学したした事が今作のインスピレーションとなった模様。

冒頭のリード・トラック「LFO」の奇妙な疾走感に面食らいつつも聴き込む程に魅了されるし、8曲目の「Wish You Could Be Here」はモンド・ポップの逸品と呼べる楽曲だと思う。

前作を聴いたときも感じたことだけど、このヒトの作品を4ADレーベルがリリースしている事がかのレーベルの多様性の象徴というべき事実とは言えないだろうか。

今年は来日があるのではないかと密かに期待している。






2024年2月13日火曜日

水の中











 

【今週の一枚】














Katy Kirby - Blue Raspberry [Anti- 2024]

2021年の1stアルバム「Cool Dry Place」が好評を博したテキサスのフィメイルSSW、Katy Kirbyの3年ぶりの2ndアルバムはANTIレーベルへの移籍第一弾となった。

何と言っても先行して公開されたリード・トラック「Cubic Zirconia」が突出して素晴らしい。

中盤のM6「Drop Dead」からM7「Party of the Century」にかけての流れも味わい深いし、続くM8「Alexandria」は重厚感溢れるサウンドで異彩を放っている。

グランジ感のあるノイジーなギターのストロークで歌われるラスト・トラック「Table」の飾らない雰囲気も好印象だ。

フィービー・ブリージャーズなんかが引き合いに出されたりしているが、ソロ転向後のエイミー・マンなんかも近しい雰囲気を感じさせられた。

それにしてもこれまた水面アルバムなんだよなあ。






2024年2月5日月曜日

立証














 【今週の一枚】













Cleo Sol - Gold & Heaven [Forever Living Originals 2023]

UKのシンガーCleo Solは昨年の9月に2枚のアルバムを連続してリリースした。

先に出した「Heaven」が30分、その2週間後に発表された「Gold」が42分の収録時間なので、一枚にまとめてもそんなに長い作品にはならなったところを敢えて2枚に分けたのは何らかの明確な意図があっての事だろう。

2021年の2nd「Mother」が非常に高い評価を受けており、2年ぶりのリリースとなったこの3rdと4thだが、2枚とも非常に充実した仕上がりとなっている。

オーガニック・ネオ・ソウルと形容される彼女の音楽だが、今回の二作についてもアレンジは非常に抑制的で、それが彼女のシンガーとしての魅力を際立たせているように思える。

ひとつのプレイリストにまとめて聴きこんでいたが、楽曲のクオリティが非常に安定しており、中だるみすることは一切無くいつまでも聴き続けられるような気がしたものだ。

今回の「Gold」もまた水面顔出しジャケに外れ無し、の仮説を立証してくれたように思う。