2018年5月29日火曜日



【今日の一枚】



Tom Gallo - Tell Me The Ghost [Tone Tree Music 2018]

ニューイングランドのSSWによるデビュー・アルバム。
スパニッシュ・ギターと安価なマイクだけで録られたいかにも宅録な音だが、リリカルな旋律と独特の陰影を醸し出すウィスパリング・ヴォイスが心を打つ。
ギターを叩く音と足踏みする音だけでリズムが構成されているにも関わらず実にパーカッシブに聴こえるのも特徴的だ。
M8「Dare You To Breathe」からM9「Home (If This Is Love)」への流れなどは聴くたんびに高揚させられる。
かのTchad BlakeがMIXを手掛けた事でも話題を呼んでいる模様。
今作はもともと配信オンリーで今春リリースされていたのをApres-midi RecordsがCD化して6月に発売予定だそうだけど、本人もFB上で「日本では今でも多くの人がCDで買うらしい」と紹介していて、なんだか微笑ましい。


2018年5月23日水曜日

カヨウトロニカ



【今日の一枚】



Henry Green - Shift [Akira Records 2018]

ブリストルの弱冠22歳の青年によるデビュー・アルバム。
SoundCloudにUPされたMGMTの「Electric Feel」のカバーなどで注目を集めていたなかで、待望のリリースに漕ぎ着けた。
全10曲30分という短尺の作品で、実際に聴いてみるまではちょっと物足りないんじゃないかな、なんて思ったりもしたが全くの杞憂だった。
こりゃ理想的な歌謡トロニカですわ。
表題曲をはじめとして珠玉のトラックが並ぶなかにあって白眉はラストの「Something」。
稀代のソング・メーカーぶりが遺憾なく発揮されている。
奇しくも来日中のニルス・フラーム所縁の独ファンクハウス・スタジオでレコーディングされた事でも話題を呼んでいる模様。


2018年5月19日土曜日



【今日の一枚】



Many Rooms - There Is A Presence Here [Other People Records 2018]

ヒューストンのフィメイルSSW、Brianna Huntによるソロ・プロジェクト、Many Roomsのデビュー・アルバム。
Other People Recordsというレーベルはこれまで知らなかったけど、所属アーティストのラインナップを見るにパンク、ハードコア系が中心の模様。
一聴してすぐ連想したのはTara Jane O'Neilでウィスパリング・ヴォイスのメランコリック弾き語り幽玄音楽といった印象。
ギター、ピアノと彼女の声のみで構成されている曲が殆どでJen Woodや初期Amanda Rogersあたりも連想させられた。
あえてそうしてるんだろうけど、なにせ音圧が低くて再生ヴォリュームをいつもより二段階くらい上げないと聞き辛いにも関わらず、儚さ満開のサウンドに心奪われてしまう。


2018年5月14日月曜日

Mannerism



【今日の一枚】



Eels - The Deconstruction [E-Works 2018]

最初にHPを立ち上げたのはかれこれ20年くらい前のハナシで当時の頃のワタクシにとっての現人神がLou ReedTom WaitsNick CaveSparklehorseTrashmonkそしてこのEelsが新御三家みたいな感じで愛聴しとりました。
1998年の2ndアルバム「Electro-Shock Blues」に続いて2000年に3rd「Daisies of the Galaxy」がリリースされた際の感激はそれこそ昨日の事のように覚えております。
その後「Souljacker」で違和感を感じ始め、今に至るまでガッカリさせられたり、今回はそんなに悪くないぞとホッとさせらりたりしつつ今に至るワケですけれども、実に12作目の作品となる今作を聴くにつけ、これはもう「偉大なるマンネリ」の境地に達しているなあ、と。
2ndや3rdの完成度とは比ぶべくもないし、今作で新たなリスナーを大量に獲得するなんて事は有り得ないでしょうけど、個人的には十分満足。
ただ、海外の批評サイトでは酷評が多い模様。






2018年5月7日月曜日

朴さん



【今日の一枚】



Park Jiha - Communion [Glitterbeat 2018]

韓国の伝統楽器奏者パク・ジハのデビュー作。
朝鮮伝統音楽デュオ、スームとしても活動する彼女、かの地のコンテンポラリー・ミュージックのニュー・ウェーブを形成する旗手の一人として注目を集めているようだ。
前情報無しに聴いていたら、ノイズ・アンビエントやフリー・ジャズの括りで違和感が無かったのではないかと思える音の作り。
表題曲「Communion」もさることながらオープニング・トラックの「Throughout The Night」も味わい深いし、M6「All Souls’ Day」の淡々とした導入から突如として狂奔するかの如くの怒涛のサウンドには圧倒されまくり。
凄え。


2018年5月1日火曜日

俺達だった



【今日の一枚】



Arms and Sleepers - Find the Right Place [Pelagic Records 2018]

衝撃的な傑作「Life Is Everywhere」から一年という短いインターバルで発表されたArms and Sleepersの6thアルバム。
やっつけ仕事みたいなクオリティだったらどうしよう、なんて思ったりもしたが、全くの杞憂だった。
今回も複数のゲスト・シンガーというかラッパーを迎えて制作されており、なかでもAmber Ryannが光る。
フィメイル・ヒップ・ホップでこんなにカッコいいと思ったのは初めてかも。
↓の動画は前作に引き続き盟友Sun Glittersが手掛けたものだそうで、目下彼等は共に東欧を中心にツアー中のようだ。
是非一緒に来日して頂きたいもの。