2022年5月30日月曜日

Portmanteau







 

【今日の一枚】













SOAK - If I Never Know You Like This Again [Rough Trade 2022]

北アイルランドDerry出身のSOAKことBridie Monds-Watsonの3rdアルバム。

今まで知らなかったけど、SOAKというのはSoulとFolkを掛け合わせているらしい。

何年か前に彼女がデビューしたのと前後してノルウェーのSigridAURORAも登場してきて、素晴らしい作品を発表しており、欧州インディー・シーンの黄金世代だな、なんて感想を持ったものだけれど、奇しくも3人とも今年新作をリリースしてくれた。

ただノルウェー勢の二人の作品がガッカリさせられたという程ではないにしても、正直あまりピンと来なかったのに比べ、このSOAKの3rdは正に期待通りの出来栄え。

先行シングルとなったM2「last july」の爆音ギターなんて、それこそ鳥肌モノ。

90年代ギター・ロックを意識して作られたそうだが、個人的にはエモっぽい音だなと感じていて、M5「red-eye」なんかはメロディが激アツだ。

それにしてもSOAKの声って本当に少年が歌っているように聴こえるけど、Rickie Lee JonesThe Innocence MissionのKaren Perisなんかが幾つになっても少女のような歌声を聴かせてくれているように、SOAKもずっとこの少年のような声で歌ってくれるんだろうなあ。










2022年5月23日月曜日

野次馬
















 【今日の一枚】













Christian Lee HutsonQuitters [Anti- Records 2022]

LAのSSWによる4thアルバム。

Anti- Recordsレーベル移籍作となった3rd「Beginners」に引き続き同レーベルからのリリース。

Phoebe Bridgersとは2018年以来交流が深く、数々のプロジェクトで共作・共演しており、バンドのギタリストとして来日もしている。

前作のプロデュースはPhoebeが手掛けたが、今作では彼女とConor Oberstの共同プロデュースとなっており、本当に強い信頼関係に有ることが窺える。

派手さとは無縁ながらも丁寧に作りこまれたウェル・クラフテッドなインディー・フォーク・ミュージック、という趣のサウンド。

シングル・カットされたM3「Rubberneckers」やM11「Creature Feature」などビートの効いたポップ感あるトラックも良いアクセントとなっているが、M5「Age Difference」やM12「OCDemon」あたりの深みのあるメロディにじわじわ引き込まれてしまう。

ハナウタとは言わんまでもヴォーカルの線がチト細いかなとも感じたけど、聴き返すうちにこれはこれで彼の個性なんだな、と逆に愛着を感じたりして。











2022年5月16日月曜日

自虐











 

【今日の一枚】













Tomberlin - i don’t know who needs to hear this​.​.​. [Saddle Creek 2022]

Sarah Beth Tomberlinによるソロ・プロジェクトのセカンド・アルバム。

2018年のデビュー作「At Weddings」はOwen Pallettがプロデューサーを務め、続く2020年のEP「Projections」はAlex Gが関わった事で話題を呼んだが、今作においてもBig Thief人脈のPhilip WeinrobeがSarah Bethと共に共同プロデューサーとして名を連ねている。

「こんなの誰が聴くというのかしら」なんて自虐的にも程があるタイトルだが、大変な充実作だと思う。

抑制的なアレンジの楽曲が並ぶが、細部に耳を傾けるほどに極め細やかな趣向が凝らされていて実に味わい深い。

儚げなアルペジオの調べに乗せて紡がれるM5「unsaid」に胸を締め付けられるが、ビートが強調され、噛み締めるように歌われるM8「stoned」も感動的。

前作に引き続きSaddle Creekレーベルからリリースされ、今秋彼女はAngel Olsenと共に欧州をツアーする予定なのだとか。








2022年5月9日月曜日

オカダ










 

【今日の一枚】













OKADA - Fragility [n5md 2022]

OKADAは日本人の岡田さんではなくフロリダのGreg Pappasによるソロ・ユニット。

多くの個性派アーティストを擁するオークランドのインディペンダント・レーベルn5MDよりコンスタントに作品をリリースしており、今作が8作目にあたるようだ。

毎作10分を超える長尺のトラック数曲でアルバムを構成しており、このFragilityも全4曲53分収録。

一曲一曲が長いと感じさせる事は全く無く、冗長さとは無縁だ。

まるで白日夢を見ているかのような音世界に耽溺させられる。










2022年5月2日月曜日

ショーン














 【今日の一枚】













S. Carey - Break Me Open [Jagjaguwar 2022]

Bon Iverのドラマーとしても知られるWisconsinのマルチ・インストゥルメンタリストS. Careyによる4年振りの4thアルバム。

Sufjan StevensLowとのコラボレーションでも名高い彼だが、個人的にはレーベルメイトのシドニーの才媛SSW、Gordiとの共演が特に印象に残っている。

のっけの「Dark」からして期待通りの幽玄にして壮大なサウンド・スケープが展開されており、思わず頬が緩んでしまうが、M7「Paralyzed」やタイトル・トラック「Break Me Open」あたりもリリシズムとダイナミズムが共存するトラックに仕上がっており実に見事だ。

今作においてはChris MessinaとZach Hansonが共同プロデューサーに名を連ねている。