2022年3月28日月曜日

ゲキトツ



















【今日の一枚】













Charli XCX - Crash [Atlantic 2022]

実にユニークなスタイルの宅録作だった前作に続くCharli XCXの5thアルバム。

Atlanticレーベルとの契約の最終作にあたるのだそう。

このうえなくキャッチーな音楽性は今作においても全開だ。

ひとつ間違えたらものすごくダサくなってしまいそうなギリギリのバランスが絶妙で、ライブでさぞかし盛り上がりそうな楽曲のオンパレードだ。

早速全英全豪チャートで1位を記録したそうで、セールス面でも大成功をおさめている。

全12曲30分超のヴォリュームが少々物足りないが、4曲を追加したDeluxヴァージョンを聴いてみて、オリジナル12曲のトータル・バランスの素晴らしさを再確認。

ただ、本人がものすごく気に入っているというアートワークのセンスはちょっとついていけなかったけど、今の彼女はそれこそ「何でもアリ」なんだろう。









2022年3月22日火曜日

記憶










 

【今日の一枚】













Nilüfer Yanya - PAINLESS [ATO 2022]

記憶が正しければ最後に観たライブはこのNilüfer Yanyaの2019年12月の初来日公演だ。

元映画館を改築したShibuya WWW Xで観た彼女は思いのほか小柄で華奢だったが、爆音ギターを掻き鳴らし、ドスの効いた低音ヴォイスで歌いまくる姿に大層感銘を受けたものである。

そんな彼女が3年ぶりにリリースしたセカンド・アルバムだが、オープニングの「the dealer」からして痛快至極だ。

疾走感溢れるギター・ストロークにメロディアスかつクールなヴォーカルが本当に素晴らしい。

M6「midnight sun」なんかも緩急の付け方が絶妙で轟音ギターのウォール・オブ・ノイズが正にカタルシス。

シンプルなアレンジながらメロディが印象的なM9「company」や軽快なリズム・トラックに乗せて紡がれるM11「the mystic」も味わい深い。

また来日公演が実現する日が来たら是非とも足を運びたいものだ。









2022年3月14日月曜日

廃墟のなか










 

【今日の一枚】













caroline - caroline [Rough Trade 2022]

ロンドンの8人組バンド、carolineによるデビュー・アルバム。

バンドは2017年にJasoer LlewellynとMike 0’Malley、Casper Hughesの3人で結成され、セッションを重ねていくなかで徐々にメンバーが増えていき、最終的に現在のラインナップとなったようだ。

Rough TradeレーベルのファウンダーGeoff Travisによりその才能を見出され2019年末に同レーベルと契約を締結、翌年2月に廃墟となったプールの中での演奏を発表、大きな話題を集めた。

90年代のミッドウェスタン・エモやAppalachian Folk、クラシカル・ミニマリストなどの影響を公言しているようだが、即座に連想されたのはVelvet Undergroundだった。

アンプ直刺しの生々しいギター・サウンドとストリングスを絡めた即興的なサウンド・スタイルに共通点が見いだせるし、曲名に「Good Morning」や「Natural death」が採用されているのもヴェルヴェッツの1stへのオマージュなのか、とかそもそもバンド名からしてLou Reedの「Caroline Says」から採ったのでは、なんて妄想をしつつ聴くのも愉しい。



2022年3月7日月曜日

20









 

【今日の一枚】













Big Thief - Dragon New Warm Mountain I Believe in You [4AD 2022]

Big Thiefの2年振りの5thアルバムは全20曲収録、1時間20分超の大作となった。

CD版は2枚組のダブル・アルバムとしてリリースされたそうだが、そのヴォリュームもさることながら、内容の濃密さに圧倒される。

何の変哲もないフォーク・ロックを奏でているようで、こんなにも特別な音に聴こえるのは彼等の力量の凄まじさによるものだろう。

2019年に4ADより2枚の作品をリリースしたのちコロナ禍のなかにあってAdrianne LenkerとBuck Meekがそれぞれソロ・アルバムをリリースしたが、バンドのほうは5か月の期間、NY北部やアリゾナなどそれぞれ異なる4か所のスタジオで制作が進められ出来上がった45曲から20曲を厳選して完成された模様。

アルバム随所に聴きドコロがあるなかでもリード・シングルのM7「Little Things」からM10「Blurred View」にかけての流れに特に感銘を受けた。

作品のプロデュースはドラマーのJames Krivcheniaが手掛けている。