2018年10月29日月曜日

メオト



【今日の一枚】



Rue Royale - In Parallel [Sinnbus 2018]

UKノッティンガムを拠点に活動する夫婦デュオによる5年ぶりの4thアルバム。
マイナー・コードを基調にしたギター・アルペジオに二人のグッド・ハーモニーが乗っかるスタイルはそのままに、随所に尖ったサウンド・アレンジが施された野心作となっている。
取ってつけた感が全くしなくて、凄くスリリングで新鮮に聴こえるのは元々兼ね備えていた感性が数多のツアーを重ねる事で研ぎ澄まされていった事の証左なのでは。
昨年鮮烈なデビューを飾ったGordiとのコラボレーションでも知られるSean Careyが共同プロデューサーとして名を連ねている。



2018年10月22日月曜日

弦奏



【今日の一枚】



Rhian Sheehan - A Quiet Divide [Loop 2018]

ニュージーランドのウェリントンを拠点に活動するアーティストRhian Sheehanの5年振りのニュー・アルバム。
ポスト・クラシカル、アンビエントそしてポスト・ロックといったジャンルを抱合したドラマティックかつダイナミックな作風は健在。
なんといってもストリングスのアレンジが絶妙でM2「The Absence of You」やM12「April」なんかには圧倒された。
M9「Atlas」で披露されるエレクトロなんかにはアプローチも興味深い。
随所に女声コーラスが取り入れられている以外は基本的にはヴォーカルレスの作品だが、M4「Soma Dreams」では何故か日本語のポエトリー・リーディングが採用されている。


2018年10月15日月曜日

お見それ致しました



【今日の一枚】



Kristin Hersh - Possible Dust Clouds [Fire Records 2018]

正直驚いた。
Trowing Musesは当時かなり熱心に聴いていたし、Kristin Hershのソロも追いかけてはいたものの、流石にここ最近はフォローしきれていなかった。
新譜が出るらしい、と知っても最初は食指を動かされなかったというか、ピクシーズやブリーダーズの復活作を鑑みても、そんなに期待出来ないだろうし、とりあえずダウンロードだけしとくか、みたいな。
ところが、である。
これが実に素晴らしいのだ。
1966年生まれだというから52歳になるクリスティンが、こんなにパワフルでラウドで勢いのあるギター・ロックを鳴らしてくれるとは。
ささくれだったポップネスは健在だし、クリスティンのヴォーカルも全くといって良い程衰えを感じさせない。
全盛期のTrowing Musesに比肩するクオリティと言っても良いと思う。




2018年10月9日火曜日

ちょうど



【今日の一枚】



epic45 - Through Broken Summer [Wayside and Woodland Recordings 2018]

英国出身のRob GloverとBen Holtonのユニットepic45による7年ぶりのニュー・マテリアルはフル・アルバムとしては丁度10作目の作品。
シューゲイザー、ポストロック、エレクロニカにフォークと彼等の音楽は様々な側面を持っているが、それらのエッセンスを抽出しつつ、見事に彼等独自の幽玄音世界に昇華させている事を痛感させてくれる仕上りとなっている。
楽曲単位ではM2「The Lanes Don't Change」やタイトル・トラックのM13「Through Broken Summer」あたりに特に強い感銘を受けた。
M6「Hillside '86」でJuly SkiesのAntony Hardingがゲスト参加している。


2018年10月2日火曜日

白鍵



【今日の一枚】



Zinovia Arvanitidi - Ivory [Kitchen Label. 2018]

シンガポールの KITCHEN. LABEL よりリリースされたギリシャ出身の作曲家によるデビュー・アルバム。
現在はフランスを拠点に活動しており、Hior Chronikとのデュオ、Pill-Ohとしても作品を発表している。
往年の欧州映画を見ているかのような退廃的な美を感じさせるモダン・クラシカル作品。
アートワークは仏人写真家Aëla Labbéによって手掛けられており、アルバムの世界観と呼応しているようで印象的。