2022年9月26日月曜日

ねがい











 

【今日の一枚】














Anna Butterss - Activities [Colorfield Records 2022]

豪州Adelaide出身で現在はLAを拠点に活動するベーシストのソロ・アルバム。

セッション・ベーシストとしての彼女の経歴は驚く程に華麗きわまりないもので、これまで共演したミュージシャンはMakaya McCravenにAimee Mann、Phoebe BridgersやBright Eyes、といった大物が目白押しだ。

そんな彼女が手掛けたソロ・アルバムは豪華客演陣を迎えて制作されたものではなく、全ての作曲を彼女自身が手掛け、アルト・サックスとパーカッションにゲストが参加した以外は全てのインストゥルメントを彼女自身が演奏している。

ベースが主役の楽曲が多いと言えばそうなのだけど、いかにもベーシストが作りました、という作品になっていないのも興味深い。

様々なスタイルの楽曲が並び多様性がありつつもアルバムとしての統一感が感じられるのも素晴らしい。

おそらくこれからも様々なミュージシャンから引っ張りだこ状態が続いていくのだろうけど、またソロも出して欲しいと願う次第。








2022年9月21日水曜日

破格のふたり










 

【今日の一枚】
















色んな分野で若き才能の活躍が注目を集める昨今だが、このキーボーディストとドラマーのデュオにも大概驚かされた。
鍵盤を自在に操るDOMi LOUNAはフランス生まれの22歳、フランス国立高等音楽院を経てバークリー音楽大学という経歴の才媛、JD Beckはまだティーンネイジャー。
そんな二人のデビュー・アルバムはゲスト陣のラインナップからして半端無い。
Mac DeMarco、ThundercatにAnderson Paak、そして大御所Herbie Hancock。
そんな面子を迎え、堂々たるパフォーマンスを披露しているのは圧巻としか言いようがない。
彼等の演奏は活動当初からSNSで大きな話題を呼んで拡散されたが、今作はあえてスタジオで作りこまれたところにも拘りを感じる。
正に末恐ろしいまでの才能の登場だ。











2022年9月12日月曜日

グレイ











 

【今日の一枚】













Silvana Estrada - Marchita [Glassnote 2022]

メキシコのVeracruz州Coatepec出身のフィメイルSSWのデビュー・アルバム。

現在24歳という彼女はミュージシャンで弦楽器製作者の両親の元で音楽に囲まれた幼少期を過ごし、13歳でビリー・ホリデイのコンピレーションを聴いて大きな衝撃を受けた事がその後のキャリアに多大な影響を及ぼしたのだとか。

ベネズエラのクアトロと呼ばれる4弦楽器の弾き語りをベースに、ストイックと言えそうな程に抑制的なアレンジを施したサウンドは派手さとは無縁ながらも、実にエモーショナル。

この極力装飾を排する、というスタイルはかなり意図的に追及されたものらしい。

音楽性は違うが、Cowboy Junkiesの1988年のセカンド・アルバム「The Trinity Session」に感じた凄味と近しいものを感じた次第。

本作のリリースはアメリカのインディーレーベルGlassnoteで、Gustavo Guerreroがプロデューサーを務めた。

彼女は今月から来月にかけて行われるAndrew BirdIron &WineのWヘッドライナー・ツアーのオープニング・アクトに抜擢されている模様。






2022年9月5日月曜日

ブルー












 

【今日の一枚】













Cass McCombs - Heartmind [Anti 2022]

Cass McCombsの3年振りの新作は10枚目と言う節目となるアルバムとなった。

最初のアルバムが2003年のリリースなので、ほぼ2年に一枚に近いペースで作品を発表してきた事になるワケで、精力的な活動ぶりが伺える。

個性派ドラマーKassa Overallが客演したオープニング・トラックの「Music Is Blue」のラフでリラックスしたムードのガレージ・ロックっぷりに思わず頬が緩んでしまうが、続く「Karaoke」と「New Earth」の拍子抜けしてしまいそうな程に爽やかなギター・ポップには新鮮な驚きも感じた。

M4「Unproud Warrior」やM6「A Blue, Blue Band」は彼の真骨頂とも言うべきレイド・バック気味のカントリー・ロックで実に味わい深い。

ラストを飾るタイトル・トラックの「Heartmind」はエクスペリメンタルなアプローチで異彩を放っているが、心地良い余韻を残してくれる。