2014年12月15日月曜日

誰も



【今日の一枚】



Stars - No One Is Lost [ATO Records 2014]

往年のPrefab Sproutっぽい、という向きもあるようですが、確かにそれっぽい雰囲気はあるかも。
でも、あそこまでは良くない。
退屈とまでは言わないにしても、正直決め手に欠ける印象。
2003年のセカンド・アルバムの「Elevator Love Letter」や「Look Up」とかサイコーだったよなあ。

2014年12月11日木曜日

手相見



【今日の一枚】



Copeland - Ixora [Tooth & Nail 2014]

2010年のツアーを最後に解散したCopelandが再始動、6年振りとなる5thアルバムをリリース。
で、この内容が数年間のブランクを全く感じさせない充実ぶり。
なかでも白眉はM8「Chiromancer」で、これはもう半端ない高揚感。
1st収録の「When Finally Set Free」なんかと並んで、彼等のキャリアを代表する1曲になるのでは。

2014年12月8日月曜日

蜂群



【今日の一枚】



Beta Radio - Colony Of Bees [Beta Radio 2014]

傑作デビュー・アルバム『Seven Sisters』から4年、ノースカロライナのフォーク・デュオBeta Radioの2ndがリリースされた。
相変わらずの素敵ウタモノ・アメリカーナに感激。
緻密なアレンジと美しいハーモニーが沁みるなあ。
バンジョーの響きが印象的なM8「On The Frame」が特にお気に入り。

2014年12月2日火曜日

海島国際空港



【今日の一枚】

Loscil - Sea Island [Kranky 2014]

奇しくも先週初来日を果たしていたというバンクーバーのアンビエント・アーティストLoscilことScott Morganの新作。
無機質でありながらも柔らかく温かみを感じさせるエレクトロニカ・サウンドと数々のアコースティック・インストゥルメンツの見事な混交。
それにしても寒くなってくるとこういう音が聴きたくなりますね。

2014年11月22日土曜日



【今日の一枚】



TV On The Radio - Seeds [Harvest 2014]

4ADのバンド、というイメージが強い彼等、前作でレーベル移籍し、今作はHarvestよりリリース。
今年サイコーのデビュー・アルバムを出したBanksもココですね。
前作の発売直後にベーシストのジェラード・スミスが肺癌で亡くなってしまったワケですが、その悲劇を乗り越えてバンドの活動は継続されていたようで、去年はAll Tomorrow's Partiesのヘッドライナー&キュレーターを務めた模様。
3rdアルバムの「DLZ」のようなキラー・トラックは今作には見当たらないものの、中盤の「Test Pilot」から「Love Stained」にかけての流れなんかは、流石に聴かせるなあ、と唸らされました。

2014年11月17日月曜日

優等生



【今日の一枚】



Ryan Teague - Block Boundaries [Village Green 2014]

あえて難を言うならチト小奇麗過ぎるというか、個人的にはもう少し破綻した音を期待したいトコロ。
とはいえ、流麗ポスト・クラシック・エレクトロニカ作品としての完成度はなかなかのモンであります。
冒頭の「Site And Situation」からタイトル・トラックへの「掴み」の流れは素晴らしいし、ラスト前の「Animated Landscape」はRyanの音楽的ポテンシャルの高さを証明しているかのよう。
今作関連の動画は見つかりませんでしたが、これから作るのかなあ。

2014年11月11日火曜日

不可避



【今日の一枚】



Royksopp - The Inevitable End [Dog Triumph 2014]

トータル・クオリティも申し分ないけど、The IrrepressiblesのJamieをヴォーカルに迎えた曲(Bonus Trackの「Something in My Heart」を含めて計5曲)はそれこそ珠玉の仕上がり。
Royksoppのアルバム作品としては今作が最後のリリースになるとか宣言しているみたいですが…。

2014年11月4日火曜日

ジョーカー



【今日の一枚】



Kevin Morby - Still Life [Woodsist 2014]

昨年のソロ・デビュー作を取り上げさせて頂いたのが今年の一月だったので、それから一年も経たないうちに早くもセカンド・アルバムをリリースしてくれるという嬉しいサプライズ。
相変わらずというか何というか、このヒトの歌を「上手い」という方を探すのは難しいだろうけど、このヒトの紡ぎだす音が「スキ」という方なら沢山居るんじゃないでしょうか。
なんだか懐かしくて、瑞々しい。
M3「Motors Running」の枯れた疾走感とかエエよなあ。
ちなみにM7「Parade」は亡くなってしまったLou Reedに捧げられた歌なのだそう。


2014年10月30日木曜日

律儀



【今日の一枚】



Horse Feathers - So It Is With Us [Kill Rock Stars 2014]

Peter Broderickがメンバーとして在籍していた事でも知られるポートランドのフォーキッシュ・チャンバー・ポップ・バンドの5thアルバム。
2004年のデビュー以来、2年に一枚ずつ、律儀なくらいなペースでアルバムをリリースしてくれている。
のっけの「Violently Wild」からして聴くたんびにワクワクさせられるし、M5「Small Melody」なんかもつくづく名曲だ。
それにしてもこのアートワーク、売る気が全く無いんじゃないかとさえ思えてしまう。

2014年10月24日金曜日

純林



【今日の一枚】



Zola Jesus - Taiga [Mute 2014]

Zola JesusことNika Roza Danilova、昨年の『Versions』に続くニュー・アルバムは英国MUTEレーベルへの移籍第一弾となった。
インダストリアル・エレクトロ・ミュージックの聖地とも言える同レーベルのカラーは彼女にはうってつけなのでは。
ダーク・ウェイブ、ゴシック・エレポのディーヴァとしてのポジションを獲得しているのを実感させてくれる力作。
シングル・カットされたM2「Dangerous Days」はメジャーのフィールドでも戦えるポテンシャルを感じさせてくれるが、本人も今回のアルバムが自らのキャリアの分岐点と認識しているようだ。
アルバム・タイトルはシベリア地方の針葉樹林の意のロシア語から。

2014年10月14日火曜日

網丼



【今日の一枚】



Sam Amidon - Lily-O [Nonsuch 2014]

こんなに牧歌的でありながら緊迫感に満ちた音は出そうと思って出せるモンではないのでは。
ルーツ・ミュージックを現代的かつ独創的に解釈、と書くと実に陳腐な言い回しになってしまうけど、このヒトの生み出すサウンド・スケープは凡百のオルタナ・カントリーとは確実に一線を画しているように思える。
今作もBedroom CommunityレーベルのオーナーValgeir Sigurðssonがプロデュースを担当、彼の所有するレイキャビクのスタジオでレコーディングされたようで、ジャズ・ギタリストのビル・フリーゼルがゲスト参加。
それはそうとこのヒトの奥さんってBeth Ortonなんですね。
知らんかったー。

2014年10月6日月曜日

ぬりえ帳



【今日の一枚】



The Pearlfishers - Open Up Your Colouring Book [Marina 2014]

ホント、愛すべきマンネリだと思う。
The Pearlfishersの7年振りとなる新作は全16曲収録、時間にして66分のヴォリューム。
想像を超えるような仕掛けは一切無い代わりに、旧来のファンの期待を微塵も裏切らない仕上がり。
これだけてんこ盛りだと途中ダレそうなモンだけど、全く飽きさせないのは流石というべきか。
実は15年前に御蔵入りしていた作品なんですよ、とか言われても、そのまま信じてしまいそう。
14曲目の「You Can’t Escape The Way You Feel」の流麗極まりないオーケストラル・アレンジとハーモニーなんぞは絶品の域でしょう。
David氏にはこれからもずっとこういうキラキラ・エヴァーグリーンな音を作り続けてもらいたいなあ。

2014年9月29日月曜日

仕事がスキ~♪



【今日の一枚】



Blake Mills - Heigh Ho [Record Collection 2014]

正に旬の人。
ギタリストとして、プロデューサーとしてそれこそ引っ張りダコ状態の若き俊英のセカンド・アルバム。
なんともさりげなく、そしてこのうえなく独創的。
Fiona Appleとのデュエット、「Don’t Tell Our Friends About Me」とかホント素晴らし過ぎる。

2014年9月22日月曜日

私の手



【今日の一枚】

My Brightest Diamond - This Is My Hand [Asthmatic Kitty Records 2014]

EPのアートワークもかなりインパクトがありましたけれど、今作のビジュアルにはドキリとさせられました。
のっけの「Pressure」のドラムロールのオープニングにも心踊らされます。
タイトル・トラックの「This is my Hand」から「Lover Killer」への流れなんかが象徴的ですが、ドラマティックかつダイナミックなアート・ポップ・アルバム。
My Brightest DiamondとしてはずっとSufjan StevensのAsthmatic Kittyからのリリースですが、Sufjanといえば50州完全制覇プロジェクトとか、その後どーなったんでしょうか。




2014年9月16日火曜日

Self Titled Album



【今日の一枚】



Ryan AdamsRyan Adams [Pax AM 2014]

このヒトについてはソロ名義のデビュー・アルバム『Heartbreaker』(2000年リリース)が最高傑作だと今もって思っているワケでありますが、多作な反面ムラっ気があるというか、駄作も少なくなかったりします。
しかしながらセルフ・タイトルの14枚目(14年で14枚!)の今作はなかなかの力作と呼べる仕上がり。
相変わらずの王道泥臭骨太ヴィンテージ・ロックですが、個人的にはポール・ウェスターバーグなんかと並んで、こういう路線で居心地の悪さを感じさせずに聴かせてくれる数少ないミュージシャンのひとりです。
楽曲単位でいうとM8「Feels Like Fire」やM10「Tired of Giving Up」あたりのウタゴコロ溢れるトラックに特に感銘を受けました。
ところで↓の動画の2曲目「Kim」のアルバム・ヴァージョンのギター・ソロがこのうえなく恰好良いんですが、クレジットを参照しますればこの曲にゲスト・ギタリストとしてジョニー・デップが参加しているとの事。
もしあのソロを弾いているんだとしたら、ギタリストとしても、かなりの腕前ですなあ。

2014年9月8日月曜日

美貌



【今日の一枚】



Banks - Goddess [Harvest 2014]


破格のポテンシャル。
BANKSことJillian Banksのデビュー・アルバムは今後の飛躍を予感させてくれるクオリティ。
BBCの「Sound of 2014」を初めとして数々の音楽誌やサイトでプッシュされている模様で、それも頷ける。
Lauryn HillやFiona Appleからの影響を公言し、その音楽性はダークR&B、と形容されているようだけど、全曲、というのは流石に言い過ぎにしても半分はシングルカット出来るのでは?
シンガーとしての力量もかなりのモンだし、そのうえエキゾチックな美貌と来たら、そりゃ降参でしょう。
今年のサマーソニックに来てたんですな。

2014年9月1日月曜日

金山



【今日の一枚】



Kimbra - The Golden Echo [Warner Bros. 2014]

うーむ、チト期待し過ぎてたかな。
待望のKimbraのセカンド・アルバムは少々肩透かしな印象。
雑な作り、とかいうんでは全然無いし、聴き込んでいくうちに徐々に違和感が解消されていく気もせんではないのだけれど、彼女の作品で無ければリピートして聴く事もないかな、とも思ったり。
とかなんとか言いながら次も出たら聴くんですけどね。

2014年8月26日火曜日

艶と棘

【今日の一枚】



Spoon - They Want My Soul [Loma Vista 2014]

少々大袈裟な物言いになってしまうけど、このバンドやThe Nationalの音に触れると、ロック・バンドというフォーマットにまだまだ未来があるような気がする。
メロディの完成度は全曲アコースティックな弾き語りで歌われたとしても十分聴くに堪えるレベルだが、緻密なプロダクションのバンド・サウンドが彩りを添えて実にスリリングだ。
音の空間処理に時代性を感じるというか、独特な「ゆらぎ」みたいなものを感じる。
そしてなんといってもBritt Danielのヴォーカルが相変わらず艶と棘があって魅力的である。


2014年8月21日木曜日

Footprints



【今日の一枚】

Imogen Heap - Sparks [Megaphonic Records 2014]

このヒトは現在進行形で「新作が最高傑作」なアーティストのひとりだと思う。
数か月のスパンで楽曲が出来る度にリアルタイムで発信し続け、大体3年でアルバムを完成させる、と宣言し、有言実行で発表に至った4thアルバム。
正に問題作にして意欲作、全ての楽曲の映像を愉しめるのもサイコーだ。
ちなみに彼女はこの11月に出産予定なんだそうで。





2014年8月11日月曜日

夢想



【今日の一枚】



Eddi Reader - Vagabond [Reveal Records 2014]

最近ちょくちょく「アルバム一枚まるごと再現ライブ」みたいなのを目にするけど、それこそ一夜限りの再結成Fairground Attractionの1stの再現ライブ、なんて実現したらさぞや感動的だろうなあ、なんて夢想してみたり。
ソロ転向後11作目にあたるというこの作品に耳を傾けるにつけ、こちらの想定の範囲を逸脱することはないながら、決して期待を裏切らないクオリティに仕上げてくれていて、毎度のことながら安心して聴ける。
チャートなんかとは無縁なのだろうけど、自分の好きな音楽を自分のペースで、気のおけない仲間と作り上げていき続けるというのは、実はなかなか難しい事なのではないだろうか。
そういう意味ではアーティストとして理想の年の重ね方をしている一人だと思う。


2014年8月4日月曜日

近過ぎて



【今日の一枚】



Fink - Hard Believer [Ninja Tune 2014]

普段はあまり音質に拘らないほうだと思うのですが、こういう作品なんかは本格的なオーディオ・セットで聴くべきなんでしょうね、多分。
2009年の『Sort of Revolution』収録の「Nothing Is Ever Finished」なんぞはあの年の私的ベスト・トラックと言っても大袈裟ではないくらいでしたが、異形のアーバン・エレクトロ・ブルースとでもいうべき音世界は今作においても健在。
ハイ・レベルのトラックが並ぶなかでも特にM8「Looking Too Closely」に感銘を受けましたけれど、コレがシングル・カットされてるんですな。
日本国内盤にはNirvanaの「In Bloom」のカヴァーが収録されている模様で興味をそそられつつも終盤3曲の盛り上がりが素晴らしいだけに、オマケは別モノとして聴いたほうが良いような気もします。

2014年7月28日月曜日

金箔の女



【今日の一枚】



Joan As Police Woman - The Classic [PIAS 2014]

一体何処に向かっていこうとしているのか心配になってしまいそうなアートワークのJoan As Police Womanのニュー・マテリアル。
クラシカルなソウル、R&Bの彼女流の解釈を音にした作品なのだそう。
異形のブルー・アイド・ソウルとでもいうべき世界が展開されてい面白いのだけど、個人的にはM5「Get Direct」の静謐なリズム・トラックをバックにかみしめるように歌う彼女のヴォーカルに心打たれた。
先月初来日を果たしていたんですな。

2014年7月23日水曜日

燻銀



【今日の一枚】



Joe Henry - Invisible Hour [Work Song 2014]

正にいぶし銀の貫禄。
大物プロデューサーとして比類無き実績を築いてきたジョー・ヘンリーの2年振り、13作目のソロ・アルバム。
アメリカン・ルーツ・ミュージックを下敷きとしたゆったりとした曲調のトラックが並ぶが、その空気はこのうえなく濃密だ。
2年前にともに来日したLisa Hanniganがデュエットで花を添えており、息子のLevon Henryもクラリネット、サックスでレコーディングに参加している。

2014年7月16日水曜日

ハイジとベリンダ



【今日の一枚】



O'Hooley and Tidow - The Hum [No Masters 2014]

英国ヨークシャーのフォーク・デュオによる3枚目の作品。
片割れはRachel Unthank and the Wintersetの元メンバーなんだとか。
アイリッシュ・トラッドをベースにした硬派かつ独創的なフォーク・ミュージック。
突出したトラックは無いながらもアルバム全体の統一感は素晴らしい。

2014年7月9日水曜日

Big Name



【今日の一枚】



Sia - 1000 Forms Of Fear [RCA 2014]

このヒトが10年前にリリースした「Colour the Small One」というアルバムがスキで、なかでも特に「Breathe Me」というトラックは本当に愛聴したものですが、その後聴いたアルバムはいまひとつピンと来ず、特にフォローしていなかったのですが、実はこのヒトって名だたる大物アーティストに楽曲してヒットさせてきた売れっ子ソングライターだったのですね。
wikiに記載されているミュージシャンのラインナップを見てるだけでゲップが出てきそうですww


2014年7月2日水曜日

ゆらぎ



【今日の一枚】



Sean Nicholas Savage - Bermuda Waterfall [Arbutus Records 2014]

モントリオールの個性派アーティストのニュー・マテリアル。
ぱっと聴くぶんにはブルー・アイド・ソウル、AOR、80年代エレポップあたりの影響を感じさせるが、どこまで本気でやってるのかワカらないような、チープなサウンド・プロダクションと線が細くてヨレヨレのヴォーカルがかなり個性的で中毒性の高い音。
まあこういうのを才能ある変態というべきなんでしょうな。
M4「Heartless」なんぞはなかなかの名曲だと思うし、ラスト・トラックの「Some Things Never Die」の横揺れなノリも実にクセになる。

2014年6月23日月曜日

Anachronistic



【今日の一枚】



White Sea - In Cold Blood [Crush Music 2014]

フランスのM83とのコラボレーションで知られるMorgan Kibbyのソロ・ユニットのデビュー作。
ワタクシはThe Naked and FamousがFacebookでオススメしてて興味を持ったのですが、色んなレビューに目を通すと今一つ評判が良くないようで。
なんかセンスとかノリが80年代MTV全盛期っぽいというか、曲によってはヘアー・メタルのバンドみたいなのもあったりして。
去年のダイアン・バーチの傑作セカンドもそうでしたが、今はこういう大仰なアレンジは流行らないのかも知れませんね。
いや、ワタシはこういうクサくて時代錯誤なカンジ、もちろんスキなんですけどね。