2011年10月29日土曜日
Niece
【今日の一枚】
Zola Jesus - Conatus [Sacred Bones 2011]
実は姐さんの姪っ子なんです、なんてハナシじゃないんですかね。
【今日の一冊】
鹿島 茂 - 怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 [講談社学術文庫]
内陸国のフランスにとって、だれが考えても鉄道が最適の交通手段のように思われるが、意外なことに、鉄道の重要性が広く認識されたのはきわめて遅く、1840年代に入ってからのことである。イギリスやベルギーが1830年代には早くも鉄道網の建設に着手していたのに比べると、フランスは大幅な遅れを取っていたことになるが、それでも鉄道に対する関心は希薄で、有効性を疑問視する声も強かった。
理由の一つは、ディリジャンスと呼ばれる大型乗合馬車とポストと呼ばれる郵便馬車がくまなくフランス全土をカバーし、少なくとも人間の移動に関してはかなりの用が足りていたということがある。つまり、人間用の交通手段としては、ニッチが塞がっていて、鉄道の必要性が感じられなかったのである。馬車交通網が整備されていたことが逆に鉄道の出現を遅れさせたということができる。
理由の第二は今日となっては信じられないことだが、科学者たちが盛んに鉄道の危険性を言い立てたことだ。トンネルに入ったら蒸気機関車の吐き出す煤煙によって乗客は窒息死するだろうとか、汽車のスピードが人体に好ましからざる影響を与えるとか、あるいは騒音と振動の影響で鉄道の周辺の地価が暴落するだろう、とかさまざまな鉄道反対の疑似科学的言説が考え出された。ヨーロッパの各都市では、今日もなお鉄道駅は市域の外れの寂しい場所にあるが、それはこうした言説の影響が尾を引いているからである。
放射能云々で騒いでいる連中はなんで鉄道や自動車に反対しないんだろうか。
2011年10月26日水曜日
2011年10月22日土曜日
豪華絢爛
【今日の一枚】
Ryan Adams - Ashes and Fire [PAX AM 2011]
バンド・スタイルも悪かないけど、このヒトは断然こういうアコースティック・ソロ路線のほうが真価が発揮できているように思えるのぢゃが…。
【今日の一冊】
鹿島 茂 - ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 [講談社学術文庫]
ここで一つ興味深いのは、タレーランもフーシェも、これだけ深くクーデタに関与して、バラスという神輿を担ぎながら、自分自身がその神輿になろうとはいささかも思わなかったことである。つまり、二人とも、まともな道徳感覚はもちあわせていない悪魔のような能吏だが、能吏たることをやめて親分になろうとは毫も思わなかったのである。彼らはすでに自分の才能のありどころ、すなわち情念のありようをよく知っていたのだ。
天性の陰謀家であるフーシェは、もし自分が支配者になったりしたら、陰謀情念の使い道がなくなることをわきまえている。移り気情念のタレーランも、自分が主人になってしまったら、仕えるべき主人を次々と変えて変節することができなくなるのを恐れている。ようするに、二人とも大将型ではなく、むしろ参謀型、ひとことでいえば第一流の二流人間なのである。
当たり前といえば当たり前なのだけど、ローマ帝国のルビコン前後や三国志時代、幕末~維新期、そしてこのフランス革命からナポレオン帝政といった、所謂世界史のハイライトと呼べる時代を彩るキャスト達の豪華絢爛さと言ったらないよね。
2011年10月19日水曜日
愉快痛快
【今日の一枚】
Kakkmaddafakka - Hest [Bubbles 2011]
かなりすっとぼけてるけど、実に愉快なインディー・ポップ。
KoCのErlendプロデュース。
【今日の一本】
Away We Go - お家をさがそう [2009]
映画そのものは正直まあまあだったけど、サントラを担当したAlexi Murdochの音楽はとても良かったな…。
2011年10月17日月曜日
The Bands Competition
【今日の一枚】
Of Monsters and Men - My Head is an Animal [Records Records 2011]
アイスランドの全国バンド・コンテストの去年のWinnerなんだそう。
アイスランドの「イカ天」みたいなモンですかな、って全然違うか。
【今日の一冊】
樋田慶子 - つまらぬ男と結婚するより一流の男の妾におなり [中公文庫]
松竹へ行くと当時の演劇担当はいまの会長でいられる永山武臣さんだった。
「来月の序幕に君の主演物を考えよう。それとも給料が安いのかな」
といわれたので、
「私は給料とか役が不満でやめるのではありません」
といったらびっくりして、
「何年新派にいたの?」
「十四年です」
「何だ、それっぽっちか。歌舞伎の世界を考えてごらんよ」
「でも私の青春は全て捧げました」
それにしても強烈なインパクトのタイトルだなあ。
Of Monsters and Men - My Head is an Animal [Records Records 2011]
アイスランドの全国バンド・コンテストの去年のWinnerなんだそう。
アイスランドの「イカ天」みたいなモンですかな、って全然違うか。
【今日の一冊】
樋田慶子 - つまらぬ男と結婚するより一流の男の妾におなり [中公文庫]
松竹へ行くと当時の演劇担当はいまの会長でいられる永山武臣さんだった。
「来月の序幕に君の主演物を考えよう。それとも給料が安いのかな」
といわれたので、
「私は給料とか役が不満でやめるのではありません」
といったらびっくりして、
「何年新派にいたの?」
「十四年です」
「何だ、それっぽっちか。歌舞伎の世界を考えてごらんよ」
「でも私の青春は全て捧げました」
それにしても強烈なインパクトのタイトルだなあ。
2011年10月13日木曜日
Easy Come, Easy Go
【今日の一枚】
Wilco - The Whole Love [dBpm 2011]
やりたい事をやりたいようにやって、ハイ・クオリティを保持しつつ、カリスマ的な人気を誇る。
かつてのR.E.Mなんかがそうであったように、このバンドはそんな「ロック・バンドの理想形」ともいうべき地平に到達している。
このぶんだと当分何をやっても外しようのない状態が続きそうだ。
【今日の一本】
ミドルメン アダルト業界でネットを変えた男たち - Middle Men [2011]
悪銭身に付かず、の典型みたいなお話。
2011年10月11日火曜日
鷲掴み
【今日の一枚】
Katie Herzig - The Waking Sleep [Mercer Street Records 2011]
流麗極まりないストリングス・アレンジに胸を鷲掴みにされてしまったYO。
【今日の一本】
グリーンバーグ - Greenberg [2010]
Jennifer Jason Leighの名前に惹かれて観たけどチョイ役で残念。でもGreta Gerwigさんはとても良い女優さんだと思いました。日本未公開だったとは意外。
2011年10月7日金曜日
到達点
【今日の一枚】
Gem Club - Breakers [Hardly Art 2011]
ウタモノ・ポスト・クラシカルのひとつの到達点ではなかろうか。
【今日の一冊】
七尾 和晃 - 闇市の帝王 王長徳と封印された「戦後」 [草思社文庫]
「新橋にもね、もちろん行ったことがあります。新橋は凄かった」
たしかに、林吉が驚くのも無理はなかった。
「自転車を千円千円って言いながら歩くと、誰かがすぐに買うんです。それで、買ったそばから千五百円って言って売りに歩いているんです。それでもすぐに売れていく。それを見てああ、なるほどなあと思ってみてましたね」
それはまさしく、売れるものがあれば何でも売れた、という数々の証言を裏付ける情景だった。
林吉のこの新橋ヤミ市での情景を聞き、私は、ヤミ市が単なる物流の拠点としてだけではなく、まさしく人間本能の解放地として魅力的に見えていたのではないだろうかと思うのだった。ところが、完全に自由な市場かと思われたそこでも、すぐに力関係が明らかになった。「中国人は規制されないから、どんどん広がって」いったのである。
占領軍と日本の警察という二重の足かせをはめられた日本人をしり目に、「戦勝国民」「解放国民」となった中国人と朝鮮人は商売の機運をとらえ勢力拡大をはかる。中国人がどんどん縄張りを広げていくのを見て、日本のアウトローたちは、警察の手が及ばぬのなら我が、と立ち向かっていく。経済的な欲望と国民的な自尊心が、ジメジメとした湿地帯であったという渋谷駅周辺で幾重もの暴力の波を生み、伸縮と拡張を繰り返していた。
現代の日本社会に「戦後」が脈々と連なっているという事実を思い知らされる。
2011年10月4日火曜日
やはり
【今日の一枚】
Beirut - The Rip Tide [Pompeii Records 2011]
ファースト・インプレッションでは今までで一番地味な気がしたけど、それは決してクオリティの低下を意味しない。
やはり偉大なるメロディ・メーカーなのだと確信。
登録:
投稿 (Atom)