2011年12月28日水曜日

揺蕩



【今日の一枚】



Jasmina Maschina - Alphabet Dream Noise [Staubgold 2011]

アンビエント・ノイズの海にたゆたうフォーキッシュなウタゴコロ。

2011年12月22日木曜日

Like a Daydream



【今日の一枚】



Syntaks - Nachtblende [Parallax Sounds 2011]

たまにはこういう白日夢系シューゲイズ・サウンド、耽美派ノイズ・シャワーに浸り切るのも悪かないやね。


2011年12月16日金曜日

In Bloom



【今日の一枚】



Kimbra - Vows [Warner 2011]

現時点では開花しきっていないものの、そう遠くない将来大輪の花を咲かせそうな予感。
Gotyeの「Somebody That I Used to Know」に出てくるのはこのヒトですね。

2011年12月13日火曜日

Powerful



【今日の一枚】



Hey Ocean! - Is [Universal 2011]

パワフルなメロディが売りのバンドが多いカナダのシーンのなかでも突出した存在と言えるのでは。
紅一点のAshleigh嬢は声優としても活躍しているのだとか。



【今日の二冊】



有吉佐和子 - 出雲の阿国 [中公文庫]

歌舞伎の創始者として名高い出雲の阿国を題材にした小説でありますが、実際には彼女に関しての資料は驚くほどに少なく、殆ど有吉佐和子創作のフィクションといっても良い作品。
とはいえそんなコトはどうでもよいと思える程の読み応えでありました。
数年前にNHKの連続ドラマになっていたんですな。

2011年12月8日木曜日

Face Tracking



【今日の一枚】



Bell - Diamonite [BELL 2011]

クールなエレクトロ・サウンドとアンニュイでどこかファニーなヴォーカル・スタイルが相性抜群。
電子ウタモノとしての完成度もなかなか。
ヴォーカリストのOlga BellはBjorkやFeistなんかが引き合いに出されてるみたいだけど、雰囲気的にはStereolabLaetitiaが一番近しいような。

2011年12月3日土曜日

タマシイ



【今日の一枚】

Sophie Zelmani - Soul [Epic 2011]



ダークな表層に覆われた音世界に垣間見えるピュアネス。
どうしてもファースト・アルバムの路線を期待してしまっていたけど、今作は彼女のキャリアにおけるメルクマールと呼べる作品なんじゃないのかな。

2011年12月1日木曜日

EP



【今日の一枚】



Washington - Insomnia [Mercury 2011]

どうせならあと2~3曲加えて「セカンド・アルバム」にしてくれても良かったのになー。
M7「High Treason」なんかは流石のクオリティ。

2011年11月24日木曜日

Don



【今日の一枚】



Gem - Hunters Go Hungry [Excelsior 2011]

ソリッド&タイトな演奏ぶりといい、粒揃いの楽曲といい、かなりイケてるオランダのロック・バンド。
アメリカのSpoonとか連想させられたなー。




【今日の一冊】




城内 康伸 - 猛牛(ファンソ)と呼ばれた男 「東声会」町井久之の戦後史 [新潮文庫]


 町井の半生には、米国のマフィアと共通した部分もある。マフィアはもともと、米国のマイナリティーとして虐げられたイタリア系移民が、差別に抗しようとして結集し、やがて暴力組織へと変質していったものだ。そのトップはある時期からビジネスの道に足を踏み入れると同時に、ときの権力と手を結ぶことによって、隠然たる影響力を行使するようになる。
 一方、町井久行という日本名を名乗った在日韓国人・鄭建永(チョンコンヨン)は、右翼的色彩を帯びた民族団体の武闘派として戦後の歩みを始めた。そして、本人の思惑とは違って、世間では広域暴力団として扱われる「東声会」の首領となり、時の権力と関係を深めながら、実業家への転身を遂げていった。米国でのマフィアの歴史は長く続く。しかし、それとは対照的に日本の社会は町井の「過去」を決して、見逃さなかった。さらには、実業家として生きるには純粋に過ぎ、狡猾さに欠けた。
「あの人はそろばんをはじけるような人間じゃないんだよ。ヤクザ、『韓国』までで止めておけばよかったんだ」
 町井の生きざまを知る元東声会幹部の言葉には、私が抱くのとほぼ同じ考えがにじんでいるように思う。


逆に純粋で、狡猾さに欠けたからこそ1500人もの組の親分になれたのかも。

2011年11月19日土曜日

Americana

【今日の一枚】



Jocie Adams - Bed Of Notions [CD Baby 2011]

なんとも沁みるアメリカーナですなあ…。




【今日の一冊】



川合 康 - 源平合戦の虚像を剥ぐ 治承・寿永内乱史研究 [講談社学術文庫]


 内乱期に動員した武士たちをあらためて動員しつつ、彼らの意識のなかに鎌倉殿の存在の正当性を植えつけること、奥州合戦はそうした頼朝の「政治」としての戦争だったといえよう。
 じっさいには虚構に過ぎない頼義以来の源家譜代の主従関係を、のち東国武士団がことさらに強調するようになるのも、実はこうした事情に基づいているのであり、頼朝挙兵と同時に、源家譜代の武士団がいっせいに頼朝のもとに馳せ参じたかのような認識(鎌倉幕府の草創神話)はこのように歴史的に創りだされていったのである。
 奥州合戦は、多様な在地武士の蜂起によって深化・拡大した治承・寿永の内乱を、鎌倉殿の戦争として、つまり「源平」合戦として総括した戦争であった。



頼朝が「武士」というより「政治家」だったということがよくわかります。

2011年11月14日月曜日

屋根の上のギター弾き



【今日の一枚】



Owen - Ghost Town [Polyvinyl 2011]

ギター・サウンドの構築にはもともと定評のあるヒトだけど、これまでにもましてアコースティックとエレクトロニックの絶妙な混交ぶり。

2011年11月10日木曜日

スー

【今日の一枚】



Peggy Sue - Acrobats [Wichita Recordings 2011]

ささくれだったギター・サウンドとトライバルなリズム・ワーク、ハマるわ~。
プロデューサーはJohn Parish翁

2011年11月7日月曜日

Ending



【今日の一枚】



Tom Waits - Bad As Me [Anti 2011]

これからトム・ウェイツを聴いてみようというヒトでも、この作品から聴き始めてもイイんじゃなかろうか。それくらいこのオッサンの音楽の魅力が凝縮された内容に仕上がっているように思える。

【今日の一本】



Made in Dagenham - ファクトリー・ウーマン [2010]

ソーシャル・ネットワークのエンディングにコレが流れていたのは凄く洒落た趣向だと感心させられたものだけど、今作も是非ともコレを流していただきたかったトコロ。

2011年11月4日金曜日

濁水



【今日の一枚】



Happy&Peacefulな空気に覆われつつも、際立つソングライティング・センス。

The Leisure Society - Into The Murky Water [Full Time Hobby 2011]


2011年10月29日土曜日

Niece



【今日の一枚】




Zola Jesus - Conatus [Sacred Bones 2011]

実は姐さんの姪っ子なんです、なんてハナシじゃないんですかね。



【今日の一冊】



鹿島 茂 - 怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 [講談社学術文庫]


 内陸国のフランスにとって、だれが考えても鉄道が最適の交通手段のように思われるが、意外なことに、鉄道の重要性が広く認識されたのはきわめて遅く、1840年代に入ってからのことである。イギリスやベルギーが1830年代には早くも鉄道網の建設に着手していたのに比べると、フランスは大幅な遅れを取っていたことになるが、それでも鉄道に対する関心は希薄で、有効性を疑問視する声も強かった。
 理由の一つは、ディリジャンスと呼ばれる大型乗合馬車とポストと呼ばれる郵便馬車がくまなくフランス全土をカバーし、少なくとも人間の移動に関してはかなりの用が足りていたということがある。つまり、人間用の交通手段としては、ニッチが塞がっていて、鉄道の必要性が感じられなかったのである。馬車交通網が整備されていたことが逆に鉄道の出現を遅れさせたということができる。
 理由の第二は今日となっては信じられないことだが、科学者たちが盛んに鉄道の危険性を言い立てたことだ。トンネルに入ったら蒸気機関車の吐き出す煤煙によって乗客は窒息死するだろうとか、汽車のスピードが人体に好ましからざる影響を与えるとか、あるいは騒音と振動の影響で鉄道の周辺の地価が暴落するだろう、とかさまざまな鉄道反対の疑似科学的言説が考え出された。ヨーロッパの各都市では、今日もなお鉄道駅は市域の外れの寂しい場所にあるが、それはこうした言説の影響が尾を引いているからである。



放射能云々で騒いでいる連中はなんで鉄道や自動車に反対しないんだろうか。

2011年10月26日水曜日

Orchestral



【今日の一枚】



Loney Dear - Hall Music [Polyvinyl 2011]

オーケストラルなアレンジもハマってますなー。

2011年10月22日土曜日

豪華絢爛



【今日の一枚】




Ryan Adams - Ashes and Fire [PAX AM 2011]

バンド・スタイルも悪かないけど、このヒトは断然こういうアコースティック・ソロ路線のほうが真価が発揮できているように思えるのぢゃが…。


【今日の一冊】




鹿島 茂 - ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 [講談社学術文庫]



 ここで一つ興味深いのは、タレーランもフーシェも、これだけ深くクーデタに関与して、バラスという神輿を担ぎながら、自分自身がその神輿になろうとはいささかも思わなかったことである。つまり、二人とも、まともな道徳感覚はもちあわせていない悪魔のような能吏だが、能吏たることをやめて親分になろうとは毫も思わなかったのである。彼らはすでに自分の才能のありどころ、すなわち情念のありようをよく知っていたのだ。
 天性の陰謀家であるフーシェは、もし自分が支配者になったりしたら、陰謀情念の使い道がなくなることをわきまえている。移り気情念のタレーランも、自分が主人になってしまったら、仕えるべき主人を次々と変えて変節することができなくなるのを恐れている。ようするに、二人とも大将型ではなく、むしろ参謀型、ひとことでいえば第一流の二流人間なのである。




当たり前といえば当たり前なのだけど、ローマ帝国のルビコン前後や三国志時代、幕末~維新期、そしてこのフランス革命からナポレオン帝政といった、所謂世界史のハイライトと呼べる時代を彩るキャスト達の豪華絢爛さと言ったらないよね。

2011年10月19日水曜日

愉快痛快



【今日の一枚】



Kakkmaddafakka - Hest [Bubbles 2011]

かなりすっとぼけてるけど、実に愉快なインディー・ポップ。
KoCのErlendプロデュース。



【今日の一本】



Away We Go - お家をさがそう [2009]

映画そのものは正直まあまあだったけど、サントラを担当したAlexi Murdochの音楽はとても良かったな…。

2011年10月17日月曜日

The Bands Competition

【今日の一枚】



Of Monsters and Men - My Head is an Animal [Records Records 2011]

アイスランドの全国バンド・コンテストの去年のWinnerなんだそう。
アイスランドの「イカ天」みたいなモンですかな、って全然違うか。

【今日の一冊】



樋田慶子 - つまらぬ男と結婚するより一流の男の妾におなり [中公文庫]


 松竹へ行くと当時の演劇担当はいまの会長でいられる永山武臣さんだった。
「来月の序幕に君の主演物を考えよう。それとも給料が安いのかな」
 といわれたので、
「私は給料とか役が不満でやめるのではありません」
 といったらびっくりして、
「何年新派にいたの?」
「十四年です」
「何だ、それっぽっちか。歌舞伎の世界を考えてごらんよ」
「でも私の青春は全て捧げました」



それにしても強烈なインパクトのタイトルだなあ。

2011年10月13日木曜日

Easy Come, Easy Go



【今日の一枚】



Wilco - The Whole Love [dBpm 2011]

やりたい事をやりたいようにやって、ハイ・クオリティを保持しつつ、カリスマ的な人気を誇る。
かつてのR.E.Mなんかがそうであったように、このバンドはそんな「ロック・バンドの理想形」ともいうべき地平に到達している。
このぶんだと当分何をやっても外しようのない状態が続きそうだ。



【今日の一本】



ミドルメン アダルト業界でネットを変えた男たち - Middle Men [2011]

悪銭身に付かず、の典型みたいなお話。

2011年10月11日火曜日

鷲掴み



【今日の一枚】



Katie Herzig - The Waking Sleep [Mercer Street Records 2011]

流麗極まりないストリングス・アレンジに胸を鷲掴みにされてしまったYO。



【今日の一本】



グリーンバーグ - Greenberg [2010]

Jennifer Jason Leighの名前に惹かれて観たけどチョイ役で残念。でもGreta Gerwigさんはとても良い女優さんだと思いました。日本未公開だったとは意外。

2011年10月7日金曜日

到達点



【今日の一枚】



Gem Club - Breakers [Hardly Art 2011]

ウタモノ・ポスト・クラシカルのひとつの到達点ではなかろうか。



【今日の一冊】



七尾 和晃 - 闇市の帝王 王長徳と封印された「戦後」 [草思社文庫]


「新橋にもね、もちろん行ったことがあります。新橋は凄かった」
 たしかに、林吉が驚くのも無理はなかった。
「自転車を千円千円って言いながら歩くと、誰かがすぐに買うんです。それで、買ったそばから千五百円って言って売りに歩いているんです。それでもすぐに売れていく。それを見てああ、なるほどなあと思ってみてましたね」
 それはまさしく、売れるものがあれば何でも売れた、という数々の証言を裏付ける情景だった。
 林吉のこの新橋ヤミ市での情景を聞き、私は、ヤミ市が単なる物流の拠点としてだけではなく、まさしく人間本能の解放地として魅力的に見えていたのではないだろうかと思うのだった。ところが、完全に自由な市場かと思われたそこでも、すぐに力関係が明らかになった。「中国人は規制されないから、どんどん広がって」いったのである。
 占領軍と日本の警察という二重の足かせをはめられた日本人をしり目に、「戦勝国民」「解放国民」となった中国人と朝鮮人は商売の機運をとらえ勢力拡大をはかる。中国人がどんどん縄張りを広げていくのを見て、日本のアウトローたちは、警察の手が及ばぬのなら我が、と立ち向かっていく。経済的な欲望と国民的な自尊心が、ジメジメとした湿地帯であったという渋谷駅周辺で幾重もの暴力の波を生み、伸縮と拡張を繰り返していた。


現代の日本社会に「戦後」が脈々と連なっているという事実を思い知らされる。