2022年4月25日月曜日

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【今日の一枚】













ginla - Everything [no content 2022]

ブルックリンとトロントで活動するデュオginlaによるセカンド・アルバム。

Joe ManzoliとJon Nellenの二人によって2012年に活動が開始され、Nick Hakimとは共に2枚のEPを制作したり、ライブで競演したりする関係なのだとか。

今回の作品では今をときめくBig ThiefのAdrianne LenkerがM2「Carousel」でゲスト・ヴォーカルとしてフィーチャーされているのが大きな話題となっており、ワタクシもそれをきっかけに興味を抱かされた次第。

前作がそっち寄りの音だったのかエレクトロ・デュオ、みたいな括り方をされているが、実に良質なインディー・ギター・ロックだと思えた。

上記の「Carousel」も素晴らしいし、それに続くM3「You」などはトラックの完成度が飛びぬけて高いと言えるのでは。

アコギ主体のインストのM5「Moonlighting」もなんとも素朴なアレンジでありながら聴かせるし、トリップ感溢れる長尺サイケ・トラックのM7「Decider」をさりげなく差し込んでいるのも粋だ。

ラスト・トラック「Earthquakes」の乾いたギター・カッティングのリフが印象的で、しみじみと余韻に浸れる。

1stはGrizzly BearのChris Taylor主宰のTerrible Recordからリリースされたようだが、今作は新たに設立したno contentレーベルより。







2022年4月18日月曜日

破格















 【今日の一枚】













BANKS - Serpentina [AWAL 2022]

BANKSことJillian Rose Banksの3年振りの4thアルバム。

2014年のデビュー作から8年にして4枚目という事でまずまず順調なリリース・ペースと言えるのでは。

毎作追っかけてきているが、クオリティは間違いない筈なのにいまひとつ突き抜けられていない印象で、なんだかもどかしい。

今作もあまりSNS等でも話題になっていない気が。

イメージ戦略も悪くないと思うし、今作のM5「Holding Back」なんかを聴くにつけ、破格のポテンシャルを持っていると思えてならんのだが。

とは言え全く売れていないというワケでもなさそうですし、キャンセルになった2017年の来日公演のリベンジに期待したいトコロ。







2022年4月11日月曜日

亜細亜の希望
















【今日の一枚】












Awich - Queendom [Universal 2022]

アーティスト名は本名の亜希子を訳して「Asian Wish Child」の略という事でエーウィッチ、と読むんだそうだ。

メジャー・デビュー作となるこの作品には途轍もない名曲「Link Up feat. KEIJU, ¥ellow Bucks」が収められているが、つい先日配信された同曲のYoutubeページのユーザーコメントに「15年位前の沖縄インディーズ・シーンでラップが凄く上手いと噂になっていた女の子がいたけどあの子が現在のAwichだと知って感動した」旨の書き込みを見つけ、なんだか目頭が熱くなってしまった。

その15年の間に彼女が潜り抜けてきた壮絶な経緯はあちこちで語られているのであえてここで書かないが、こういう「自分語りの日本語ヒップホップ」って外すと悲惨な事になりそうなものだけれど、驚く程にクールだと思う。

アルバム・リリース直後に初の武道館公演を挙行、満員御礼で成功させたのも凄いとしか言いようがないというか。

彼女のこれからの快進撃が非常に楽しみだ。








2022年4月4日月曜日

ヘ・ン・タ・イ














 【今日の一枚】












ROSALÍA - MOTOMAMI [Columbia 2022]

ROSALÍAの存在を意識するようになったのは4ADのバンドDaughterのボーカリストElena TonraがEx:Reのアルバムをリリースした際のインタビューで彼女の事を激賞していたのがきっかけで、その後James Blakeの2019年のアルバム「Assume Form」収録の「Barefoot in the Park」の客演がとても印象的だったのに始まり、その後もTravis ScottBillie EilishArcaといった名だたるビッグ・ネームとのコラボ作を次々とリリースし続けて正に「時の人」状態で、常に話題を振りまいてくれていたところに4年振り、待望の新作アルバムが発表された。

最初にアートワークを見たときはそれこそ呆気に取られたというか、「誰も止めなかったのか」というのが正直な感想だった。

それに輪をかけるかのように音の中身もブッ飛んでいる。

M4「Bulerías」やM11「Delirios de Grandeza」あたりに顕著だが、このヒトはオーセンティックな伝統音楽のフィールドだけでも十分通用する実力の持ち主なのは間違いないけど、本人はそんな気はさらさらないんだろう。

とにかくアルバム一枚を通じて「攻めまくっている」印象だ。

ここまでやりたい放題でメジャーのチャートを席捲しているなんて、ホント痛快すぎる。