2022年6月24日金曜日

強烈




【今日の一枚】













Perfume Genius - Ugly Season [Matador 2022]

Perfume GeniusことMichael Hadreasの2年振りの6thアルバム。

強烈なアートワークに目を奪われるが、冒頭から緊迫感溢れるサウンドが展開されており、前衛的かつシアトリカルなムード漂う作品。

元々この「Ugly Season」は振付師Kate Wallichによるダンス作品「The Sun Still Burns Here」のサウンドトラックとして書き下ろされたものなのだとか。

プロデュースは今作も盟友的存在のBlake Millsが担当。

今作に併せヴィジュアル・アーティストのJacolby Satterwhiteにより短編映画「Pygmalion’s Ugly Season」が制作されている。

現時点でのキャリア・ベストと言えるのではないだろうか。








2022年6月20日月曜日

ホンモノ





















 【今日の一枚】













FKJ - V I N C E N T [Mom+Pop 2022]

2017年の鮮烈なデビュー・アルバム以来5年振りとなるマルチ・インストゥルメンタリストFKJによるセカンド・アルバム。

この間にもEP「Ylang Ylang」やウユニ塩湖でのパフォーマンス配信など話題もあったが、なんといっても待望の作品。

何の前情報も無しにおもむろに聴き始めたが2曲目の「Greener」で、この哀愁のウーマン・トーンのギターはまるでカルロス・サンタナが憑依したかのようだな、と思いつつ曲名を確認して吃驚。

なんと本物のサンタナが客演しているではないか。

かねてから彼のファンであったというFKJは作品作りにインスピレーションを受けた事を感謝する手紙を彼に送り、それがきっかけとなって今回の共演に繋がったのだそう。

フィリピンにあるという彼の自宅スタジオで音作りに没頭して制作がすすめられた今作には2019年に結婚した ステージ・ネーム((( O )))) ことJune MarieezyのほかLittle DragonYukimi NaganoToro Y Moiも参加。

2017年の代官山UNIT初来日公演を見逃して地団太を踏んだ身としては、もし再来日が実現した折には是非とも足を運びたいものである。



2022年6月14日火曜日























 【今日の一枚】













Natalie Evans - Movements [Small Pond 2022]

英国ケント州出身でロンドンを拠点に活動するフィメイルSSWのセカンド・アルバム。

2018年のデビュー作は話題を呼んで日本でもアートワークを変更して発売もされたが、音楽歴は長く、最初のEPのリリースは2010年に遡る。

その魅力的な声と歌唱で数々のバンドの作品にゲスト・ヴォーカルとして参加している。

本人もインタビュー等でマス・ロックからの影響を公言しており、フェスに参加したりもしている事を思うと、今回の作品がスケール感溢れるバンド・サウンドになる可能性も無きにしも非ずと思っていたが、実際にはかなりインティメートな雰囲気のアコースティック作に仕上がっている。

全ての作曲・アレンジ・演奏を彼女自身が手掛けており、ゲストは弦楽器とドラムの二人のみ。

実力から言っても大手インディー・レーベルへの移籍も十分有り得る筈だが、前作に引き続きブライトンのSmall Pondからのリリースとなっているのも、強い拘りと愛着があるのだろう。










2022年6月6日月曜日

天使の
















【今日の一枚】













Hatchie - Giving The World Away [Secretly Canadian 2022]

Hatchieは豪州Brisbane出身のHarriette Pilbeamによるソロ・プロジェクトで今作がセカンド・アルバム。

Babaganoüjというバンドのメンバーとして来日した事もあるそうだ。

シューゲイザーやドリームポップの影響色濃いサウンドで、リズム・セクションのアプローチは80年代から90年代にかけてのメジャーなダンス・ミュージックへの強い思い入れも感じられる。

先行シングルとして発表されたM2「This Enchanted」やM6「Quicksand」あたりの完成度の高さには魅了されたし、M9「The Key」の轟音ギターなんかはコレコレ、みたいな。

ただ、あえて難癖を付けるとすれば全体的に優等生過ぎるというか、上手くまとめられ過ぎている印象がしてしまったのも事実。

アルバム全体を通して「こういうの、好きでしょ?」と言われ続けているような気がして少々鼻白んでしまうというか。

とは言え「こういうの好き」なのは事実だし、Baz Luhrmann監督の1996年の映画「Romeo + Juliet」から着想を得たというアートワークも素晴らしいと思う。

それにしてもSecretly CanadianといえばSongs: OhiaAntony and the Johnsonsを擁する硬派インディー・レーベルという印象が強いけど、昨今ではFaye WebsterStella Donnellyなど若手の発掘にもかなり熱心でイメージが大分変った気がする。