2017年11月27日月曜日

ケイコウトウ



【今日の一枚】



Stars - There Is No Love in Fluorescent Light [Last Gang Records 2017]

カナダの良心Starsのニュー・マテリアルはLast Gang Recordsレーベル移籍第一弾。
かなりディスコ寄りに触れた前作から3年、オーセンティックな歌謡ポップ路線を追求した作品となっている。
思いのほか手堅くまとめてきたな、なんて聴き進めていくうちに、磨きこまれたメロディとサウンドの完成度の高さに唸らされてしまう。
ダサさとか野暮ったさと紙一重の、中年になったプリファブ・スプラウト、みたいな風情がなんとも味わい深い。


2017年11月20日月曜日

科学者



【今日の一枚】



Four Tet - New Energy [Text Records 2017]

Four TetことKieran Hebdenの2年ぶりのアルバムは自身が主宰するText Recordsより。
全14曲一時間近い今作は安定と貫録を感じさせる仕上り。
先行シングルとしてリリースされていた「SW9 9SL」(Technicolor!)や「Planet」に「Two Thousand And Seventeen」と佳曲揃いのなかにあって白眉は「Scientists」。
再生する度に血が沸き肉躍る思いがする名曲だと思う。
昨年に引き続きアルバムをリリースして話題を呼んでいるKaitlyn Aurelia Smithも「LA Trance」のシンセ・プログラミングで参加している模様。
MVが見つからなかったので↓の動画はレッド・ブルのセッションより。


2017年11月13日月曜日

モテモテ



【今日の一枚】



Moses Sumney - Aromanticism [Jagjaguwar 2017]

ネットにアップした音源がきっかけとなってレーベル契約に繋がるというのは昨今珍しくないワケだけれど、このMoses SumneyもJames Blakeの「Lindisfarne」の多重録音バージョンで注目を集めたそう。
Sufjan Stevensと共演したりSolangeの作品にバック・コーラスに抜擢されたり、と大層なモテっぷりな彼、その破格の才能をこのJagjaguwarレーベルからのデビュー作で存分に発揮している印象。
荘厳な響きの「Man On The Moon (Reprise)」からオールド・ジャズを彷彿させる「Don’t Bother Calling」へと続く冒頭の掴み2曲も申し分ないし、ラストのリリカルなギター・アルペジオで紡がれる「Self-Help Tape」も素晴らしいが、なんといってもアルバムのハイライトは今をときめくThudercatが客演した「Quarrel」から「Lonely World」への流れ。
正にクロスオーバーの体現者というべき存在なのではなかろうか。


2017年11月6日月曜日

悪趣味



【今日の一枚】



Fever Ray - Plunge [Rabid Records 2017]

The KnifeKarin Dreijer Andersson によるソロ・プロジェクトFever Rayの2009年の1stアルバムには当時大いに感銘を受けたものだけれど、その後長いこと音沙汰もないし単発の企画だったのかと半ば諦めかけていたトコロ、突如として活動が再開されセカンド・アルバムがリリースの運びとなった。
とても感激した反面、続々と更新されるFBページWEBサイトのビジュアルのブッ飛びぶりが半端なくて、アルバムを聴くのに少々腰が引けてしまったほど。
Björkの新作のアートワークも話題を呼んでいるようだけど、ベクトルは違えど悪趣味の度合いは張り合っているレベルなのでは。
先行シングルとしてカットされた「To The Moon And Back」のMVなども全く理解不能で、誰か止める奴は居なかったのかとさえ思ってしまう。
ただ救いは肝心のアルバムの音が聴き応え十分の仕上がりになっている事で、やはりミュージシャンとしてのポテンシャルは破格なのだと再認識させられた。


2017年11月1日水曜日

森の



【今日の一枚】



Loney dear - Loney dear [Real World Records 2017]

スウェーデンのLoney dearことEmil Svanängenの6年ぶりの7thアルバムはPeter GabrielのレーベルReal World Records移籍第一弾となった。
もともと森のクマさんみたいな風貌に似つかわしくない中性的な歌声とメランコリックなメロディが特徴だった彼、今作においてはこれまでにもましてマイナー・コードを強調した切なさ満開のトラックが並んでいる。
ミニマリスティックな音響処理も聴いていて実に心地よいけど、曲に合わせて旋律を口ずさんでいるうちに思わず涙がこぼれてしまいそう。