2023年6月29日木曜日

ペンダント














 【今週の一枚】












Balmorhea - Pendant World [Deutsche Grammophon 2023]

Balmorhea(バルモレイ)はRob LoweとMichael A. Mullerの二人が2006年に結成したテキサスのインストゥルメンタル・ユニット。

今作は2年ぶり8枚目のアルバムにあたり、Deutsche Grammophonレーベル移籍後2作目のリリースとなった。

プロデューサーとエンジニアにJonathan Lowを迎え、ヴァーモント州の400エーカーの農場で制作が進められた模様。

ゲスト陣にはバイオリニストのAisha Burns、チェリストのClarice Jensen,、フルート奏者のJoseph Shabason等が名を連ねているが、なかでも異彩を放っているのはじゃず・サキソフォニストのSam Gendelだろう。

ポスト・クラシカルの括りで語られる事が多い彼らの音楽だが、アンビエント・アメリカーナ、という形容が実にしっくりくるように思えた。

作品のタイトルは「吊るされた世界」という意味らしい。




2023年6月19日月曜日

が止まらない










 

【今週の一枚】












Oval - ROMANTIQ [Thrill Jockey 2023]

独ベルリンを拠点に活動するOvalことMarkus Poppによる新作アルバム。

昨年Vlatka Alecとの共作アートプロジェクト・アルバム「Ovidono」をリリースしているが、純粋な意味での本人名義の作品としては2020年の「SCIS」以来三年ぶりで、自身のレーベルUovoooではなく古巣Thrill Jockeyより。

フランクフルト「Deutsches Romantik-Museum」のグランド・オープニングを記念しデジタル・アーティストRobert Seidelとのコラボレーションがきっかけとなって制作が進められたそう。

Robert Seidelは「Ovidono」のアートワークも手掛けており、今作においてもアートワークに加え先行配信された「Touha」のMVも彼の手によるものなのだとか。

正直なところ時代をリードするような革新性みたいなものは感じ取れないもののMarkusの衰え知らずの好奇心と旺盛な制作意欲を全編から感じ取る事の出来る作品に仕上がっていると思える。





2023年6月12日月曜日










 

【今週の一枚】













Gia Margaret - Romantic Piano [Jagjaguwar 2023]

イリノイ州シカゴのマルチ・インストゥルメンタリストGia Margaret、3年ぶりの3rdアルバムはJagjaguwarレーベルへ移籍してリリースされた。

アンビエント・アルバムだった2nd「Mia Gargaret」の続編というべき作品でM6「City Song」で自身のヴォーカルを披露している以外はピアノ主体のインスト作となっている。

随所に散りばめられたフィールド・レコーディングは地元ミシガンやワシントン、イリノイで録音された模様。

プロデュースは彼女自身が務め、カバー・アートはRachel Winslowが手掛けたそう。

全12曲収録時間28分という小ぶりな作品だが、文字通りロマンティックなピアノの響きを堪能出来る。

先行リリースされたオープニング・トラック「Hinoki Wood」は日本の檜から採られていて、実際にレコーディング中に檜のお香を焚いていたのだとか。






2023年6月5日月曜日

どうぶつの


















 【今週の一枚】













Kassa Overall - ANIMALS [Warp 2023]

凄腕ドラマーにしてバックパック・ジャズ・プロデューサーKassa Overallの3rdアルバム。

前作はGilles Peterson主宰のBrownswoodレーベルよりリリースされていたが、今作はWarpレーベル移籍第一弾となった。

フリースタイル・ジャズ、エクスペリメンタル・ヒップホップ等彼の独創的極まりない音楽は色々な形容が出来るけど彼自身「ポップでキャッチーかつアヴァンギャルドでフリー」

なスタイルを目指していると語っている通りの作品に仕上がっていると思える。

多彩なゲスト陣のなかには昨年快作アルバムをリリースしたNick Hakimや、意外なところではFrancis and the Lightsなんかも名を連ねており、彼の交友関係の幅広さが窺える。

ノスタルジックとヒューチャーリスティックなテイストが見事なバランスで混交した稀有な作品ではなかろうか。