2017年5月29日月曜日

あえて



【今日の一枚】



Land of Talk - Life After Youth [Saddle Creek 2017]

Liz Powell率いるLand Of Talk、7年振りの3rdアルバム。
2010年リリースの2nd「Cloak and Cipher」に大層感銘を受けていたので、正に待望の、という作品だったワケだけど、こちらの期待値を軽々と超越してくれた印象。
何の変哲もないギター・ロック、といえば本当にそうだし、Lizはシンガーとして決して巧い歌い手ではないにも関わらず、このバンドにしか出せない音を鳴らしていると思う。
アコギ弾き語りでも十分聴かせるメロディが並ぶなか、あえてギター・ロックというフォーマットに拘る必然性をひしひしと痛感させられる名盤だ。


2017年5月22日月曜日

病んでます



【今日の一枚】



Aimee Mann - Mental Illness [SuperEgo 2017]

基本的に駄作が無いエイミー・マンだけど、どれか一枚だけ選ぶとするとやはり1995年の2ndアルバム「I'm With Stupid」になるし、この作品から3rdアルバム「Bachelor No.2」にかけて彼女のキャリアはピークを迎えていたのだと思える。
しかしながら5年振りのソロ9作目にあたるという今回の「Mental Illness」の充実ぶりには驚かされてしまった。
友人に次作の作風は?と問われて「いつもの調子の暗くて病んでる風よ」と自嘲気味にジョークで応えたのがそのままタイトルになったというのも微笑ましいエピソードだし、徹底的にオーセンティックなアコースティック・アレンジを追及したのは昨年急逝した故レナード・コーエンの影響が大きい、と語っているのにも感動させられた。
粒が揃いまくってる楽曲のなかにあってオープニング・トラックの「Goose Snow Cone」やM8「Knock It Off」なんかは今後も長く続くであろう彼女のキャリアのなかでもベストの数曲に挙げられるレベルのように思えてならない。



2017年5月17日水曜日

うみべ



【今日の一枚】



Selffish - He She Them Us [Serein 2017]

Selffishはラトビアの首都リガ出身のAndrew Eigusによるソロ・プロジェクト。
十数年振りとなるアルバム・リリースはウェールズのレーベルSereinより。
フィールド・レコーディングや様々なインストゥルメンツの音色を効果的に配した、ジャジーでアブストラクトなアンビエント・エレクトロニカの佳作。
海辺の光景をレイアウトしたアートワークも実に素晴らしい。





2017年5月8日月曜日

銀の



【今日の一枚】



Goldfrapp - Silver Eye [Mute 2017]

MuteレーベルといえばDepeche ModeNick Cave & The Bad Seedsのイメージが強かったけど、彼等が移籍したいま、このGoldfrappが看板バンドのひとつと言っても過言でないのでは。
衝撃的だった2000年の「Felt Mountain」から早17年、フル・アルバムとして7作目にあたる作品がリリースされた。
作品毎に目まぐるしく作風を変える事で知られる彼等、今回はゴス・テイストのエレポ路線。
のっけの2曲のキャッチーさは特筆に値すると思うし、ラスト・トラックの↓の「Ocean」も圧巻。
Curveとかこういうアプローチで生き残る道もあったと思うんだけどなあ。
久しぶりに来日してくれんモンか。


2017年5月1日月曜日

オノミチ



【今日の一枚】



Tara Jane O'Neil - Tara Jane O'Neil [Gnomonsong 2017]

Tara Jane O'Neilはこれまでに7度の来日公演を果たしているそうだけど、Idaのダニエル・リトルトンと一緒に初来日した際の尾道公演を観た記憶がある。
何年前だったのか、調べてみたら2002年というから15年前の事で、もうそんなに前なのか、としみじみ。
3年振りとなる今回の作品はDevendra BanhartとVetiverのAndy CabicのレーベルGnomonsongより。
実験色は抑え目に、ウタモノ的側面を強調した仕上がりで、彼女の音楽に初めて触れるヒトにもとっつきやすいのではなかろうか。
現時点では今作に絡めての映像作品は見つからなかったので、動画は旧作より。