2023年4月24日月曜日

大胆不敵











 

【今週の一枚】













Siv Jakobsen - Gardening [The Nordic Mellow 2023]

ノルウェー、オスロを拠点に活動するフィメイルSSW、Siv Jakobsenの3rdアルバム。

ボストンのバークレー音楽大学で学んだという経歴の持ち主だそうだ。

大胆不敵な面構えのアートワークが印象的で、PJハーヴェイなんかの攻撃的でささくれだった感触の音を連想してしまいがちだが、実際のサウンドはVashti Bunyanあたりに通じる、柔和でオーガニックなテイストのコンテンポラリー・フォーク。

普段はオスロの自宅で庭いじりに明け暮れる生活を送っているそうで、farmer-songwriterを自称し農園運営をしつつ活動するベルギーのCatbugなんかに通じる部分も。

数年前に初来日を果たしており、その後も再来日公演の計画があったが諸事情で頓挫、是非また来てほしい。







2023年4月17日月曜日

おどろき


















【今週の一枚】













Hayden - Are We Good [Arts & Crafts 2023]

カナダのSSW、HaydenことPaul Hayden Desserの8年ぶりの9thアルバム。

思い起こせば1995年の1st「Everything I Long For」で彼が登場したときの印象は実に鮮烈であったし、奇しくも同じ年にオンタリオ州で同郷のRon Sexsmithが自らの名前を冠した素晴らしいメジャー・デビュー作をリリースしていた事を思うと本当に感慨深い。

Ronの方はコンスタントに作品を発表し続けていて、安定的にクオリティの高い音楽を聴かせてくれているが、久しぶりに聴いた今回のHaydenのアルバムには正直驚かされた。

なんというか、平穏なサウンドで統一されていながらも一種の凄味みたいなものを感じさせられるのだ。

1971年生まれという事で五十路を迎えている彼だが、長いキャリアを通じ円熟の境地に達しているように思える。

リード・シングルとなったM3「On A Beach」はThe NationalのMatt Berningeとの共作でFeistがゲスト・ヴォーカルで参加。

ギター・ケースをモチーフにしたアート・ワークも実に秀逸だ。









2023年4月10日月曜日

オオバケ



















 【今週の一枚】













Anita Velveeta - Western Amphibians [Anita Velveeta 2023]

ミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動するAnita Velveetaのフル・アルバム。

これぞオルタナティブ・カントリーと呼ぶべき作品。

アメリカン・ルーツ・ミュージックが根っこにあるのは間違いないにしても、その表現スタイルは本当に自由な発想から生み出されている。

カート・コバーンがピクシーズの「静と動」のフォーマットに大いに影響を受けた、というのは有名な話だけれど、このAnita Velveetaの爆音カタルシスも相当なモンだと思える。

DIY精神の塊のようなミュージシャンで、情報が極端に少ないが、コレは大化けするんではなかろうか。








2023年4月3日月曜日

事故











 

【今週の一枚】













Last Days - Windscale [n5MD 2023]

Graham Richardsonのアンビエント・ポストロック・プロジェクトLast Daysの6年ぶりの6thアルバム。

1957年にノース・ウェスト・イングランドのSeascaleで発生したWindscale原発の重大事故をテーマに制作された作品。

6年のブランクが無かったかのような、重厚感と緊張感をたたえたドローン・アンビエントの傑作だと思える。

正直なところ政治的にデリケートなテーマを音楽にするというスタンスは個人的にはいかがなものかと思ったりせんでもないのだけれど、純粋に音楽として完成度が高いのは間違いない。

M11「Brighter One Day」などは文句の付けようのない名曲ではなかろうか。