【今日の一枚】
Only Son - Searchlight [Megaforce 2011]
ここに、愛すべきPOPオタクがまたひとり。
Regina Spektorとのデュエットも感動的。
【今日の一冊】
本田 靖春 - 誘拐 [ちくま文庫]
孫を奪われたすぎは、励ましや慰めの手紙を受け取るたびに、自問自答したものである。
「だれかがこうなったらその人に手紙を書こうとしただろうか」と。
彼女は善意というものを、言葉の上ではなく、肌身に滲みて知った。
しかし、同時に、極限にまで打ちひしがれている人間を、それこそ水に落ちた犬でも叩くようにして、さらに打ちのめそうとするいわれのない憎悪の持主が、社会には少なからず潜んでいることも、心臓を刺されるようにして教えられたのである。
彼女にとっての教師は、たとえば、水鉄砲を持った吉展が、公衆便所の手洗場から消えた直後、匿名の手紙を送り付けてきた人物である。その最後は次のように結ばれていた。
「公共の水を手前勝手に使うから、そういう目にあうのだ」
ただひたすら、哀しい。