2025年11月10日月曜日

Anaïs Anaïs

 










【今週の一枚】














anaiis - Devotion & The Black Divine [5DB RECORDS 2025]

anaiis は、ロンドンを拠点とするフランス系セネガル人のシンガーソングライター。

アナイスという名前は英語圏で言うトコロのアンナであり、1980年にフランスでヒットしたAnaïs Anaïsという香水がきっかけで、仏国内でアナイスという名前を付ける親が相次いだんだそうな。

仏トゥールーズ生まれの彼女、幼少期からダブリン、ダカール、オークランド、ニューヨーク、そしてロンドンなど、様々な都市を転々とし、彼女はニューヨーク大学ティッシュ芸術学校で音楽を学んだ模様。

2018年にデビューEP「Before Zero」をリリースしたのち幾つかのシングルを発表、サウス・ロンドンのTOUCHING BASSからリリースされたデビュー作「This Is No Longer A Dream」に続きウェスト・ロンドンを拠点にする5DB RECORDSからニュー・アルバムを届けてくれた。

その音楽スタイルはかなりオーセンティックなR&B、ソウル・ミュージックの文脈にありつつもエクスペリメンタルな側面を兼ね備えており、クール極まりない風貌も併せて独特の存在感を放っている。

今年佳作アルバム「wishful thinking」を世に放ったDuval Timothyも彼女の才能を大いに評価しているとの事、これからも大いに飛躍を期待したい才能とは言えまいか。








2025年11月5日水曜日

一発

















 【今週の一枚】














crushed - no scope [Ghostly International 2025]

crushedはBre MorellとShaun Durkanによるデュオで今作が1stアルバム。

BreはTemple of Angelsのヴォーカリストとしても活動、ShaunはTopographiesやWeekendの元メンバーという経歴を持つ。

それぞれLAとポートランドに在住する二人、遠隔からリモートで作品作りを進めるという現代風のユニットだ。

ドリーム・ポップの括りで語られる事の多い彼等、トリップホップやブレイクビーツ、90年代オルタナティブの影響も色濃く感じさせる。

この作品に先立つEP「extra life」で大きな話題を呼んだcrushedはGhostly Internationalとの契約に漕ぎつけ、満を持して今作を完成させたとの事。

当初はセルフ・プロデュースで作品作りをしていた二人だが、Japanese BreakfastやWeyes Bloodの作品に携わったJorge Elbrechtを共同プロデューサー兼ミキサーに迎え今回のアルバムの制作が進められた模様。

カナダのStarsの往年の作品が想起させられもしたが、このcrushedはデュエットのスタイルは採らず楽曲毎にヴォーカルを分担しており比率的にはBreが歌う楽曲が多いのだけれど、Shaunのヴォーカルも冴え渡っている。

アルバムの終盤Shaunの歌うweaponxとBreによる「celadon」の2曲が今作のハイライトのように思えた。

それにしてもこういう最新技術を用いつつも、どこかノスタルジックなムードの音が今の時代の空気なのかな、と思わされたり。