2008年9月4日木曜日

十年以上前に



シューゲイザーについて書いたテキストが出てきました。
掲示板に書き込んだのか、メールで送ったのか、そもそも誰宛に書いたのかさえ今となっては思い出せませんが…。
頼まれたワケでもなかろうに妙に一生懸命書いていて、我ながら笑えます。

シューゲイザーというジャンルを説明するには当時シーンの中核バンドのひとつだったチャプターハウスのメンバーの発言がその本質を非常に端的に表現していると思われます。
曰く、「ジーザス&メリーチェインが起爆剤で、マイブラディバレンタインが潤滑油であった」。マッドチェスターのムーブメントが沈静化したあと、轟音ギターノイズをバックに人懐っこいメロディを囁くように歌うロンドン周辺のバンド達が活躍し始め、かの地のメディアが「ハッピーヴァレー」もしくは「シューゲイザー」という括りで彼らの事を呼んだのがそのコトバの起源です。シューゲイザーの由来はうつむきがちで自分の靴(シューズ)を見つめ(ゲイズ)ながら歌うスタイルからです。アメリカではドリーム・ポップという呼称も使われているようですね。代表的なバンドはライド、ラッシュ、ペイル・セインツ、カーブ、スロウダイブ、ムース、リヴォルヴァーなどが挙げられますが、ここ日本でもそこそこ人気を博し、チャプターハウスは渋谷クワトロ3daysを敢行したり、ペイル・セインツは福岡公演も行ったようです。ムーブメントはシーンの首領的バンド、マイブラの「ラブレス」リリースでピークを迎えましたが、その後あっという間に収束に向かいました。代わりに頭角を現したのがスエード、PJハーヴェイ、デイジー・チェインソウらだったワケです。ブラーやオアシスはもうちょっと後ですね。JAMCはムーブメント終焉後の'92年にキャリアの集大成的アルバム「ハニーズ・デッド」をリリースしましたが、シューゲイザー達に再びスポットが当たるコトはありませんでした。ライドやラッシュはその後もそれなりに活躍はすれど当時のきらめきは望むべくもなかったし、テクノに接近したスロウダイブやチャプターハウスも徐々に失速してしまいました。なかではムースなどが地味ながらも地道に独自の路線を貫き通しているのとスロウダイブのメンバーが中心となったMojave3がそこそこ活躍しているくらいでしょうか。ブー・ラドリーズなどはシーンのなかから出てきたバンドですが、当時はそんなに注目されなかったものの、のちにビッグ・バンドになりましたし、キャサリン・ホイールはアメリカのカレッジ・チャートで人気を博しました。スワーブドライヴァーなども息が長かったと言えるかもしれませんね。
まあパッと盛り上がってあっという間に失速する様はパンクっぽかったと言えばそう言えないコトもないかもしれませんが(笑)。
つーか、この辺りからアメリカン・インディーズが面白くなったとも言えるかも。勿論オルタナ云々とは違った次元で。

ちなみに余談ですが当時のREMIX誌だったかのインタビューでマイブラディバレンタインのケヴィン・シールズが「僕等はシューゲイザーではない。だって僕はブーツを履いているからね」というなんともトホホなコメントを残しています。
復活は…しないほうが良いかもしれませんね(笑)。