2023年10月16日月曜日

なげやり
















【今週の一枚】













Sufjan Stevens - Javelin [Asthmatic Kitty 2023]

スフィアン・スティーブンスの存在を知ったのは2003年リリースの傑作3rdアルバム「Michigan」だったので、もうそれから丁度20年が経過したのかと思うと実に感慨深い。

その間に映画「Call Me by Your Name」の主題歌「Mystery ofLove」で数々の賞を受賞したりアンビエント・アルバムを発表したりと話題には事欠かなかった彼だが、純粋なシンガー・ソングライター作品としては2015年の「Carrie & Lowell」以来8年ぶりという事になる。

多くのファンがこのアーティストにこんな作品をまた作って欲しいという期待に十分過ぎる程応えたアルバムに仕上がっているように思えるし、先述した3rdやそれに続く4th「Seven Swans」あたりと比しても全く遜色のないクオリティだと思えた。

先行シングルとしてカットされたM3「Will Anybody Ever Love Me?」は彼のキャリアを代表する名曲のひとつに挙げられるのではないだろうか。

Hannah Cohenをはじめ数々の女性ヴォーカリストをゲストに迎えて見事なコーラスワークで彩られており、8分半の大作となったM9「Shit Talk」ではThe NationalのBryce Dessnerがギタリストで客演しているが、基本的に全ての楽曲の演奏、レコーディング、ミキシング、プロデュースそしてアートワークに至るまでスフィアン自身が手掛けている。

アルバムには48ページのヴィジュアル・アートワークとそれぞれの楽曲に紐づいた10編のエッセイが収録されたブックレットが付属されている。

現在彼はギランバレー症候群の合併症で闘病中であり、リハビリを続けているそうだが、一日も早い回復を期待したい。