【今週の一枚】
Aurora - What Happened to the Heart? [Decca - 2024]
カナダ人のアーティストでSarah McLachlanという方が居られて、このヒトが1993年にリリースした3rdアルバム「Fumbling Towards Ecstasy」という作品は今もって90年代を代表する傑作だと思うし、セールス的にも大成功をおさめ、当時のビル・クリントン元大統領がモニカ・ルインスキーとの逢瀬のBGMに使っていたという逸話が残っていたりもする。
それがノルウェーのオーロラの新譜と何の関係が?という話なんだけど、彼女が2022年にリリースしたアルバム「The Gods We Can Touch」のガッカリ感がSarah McLachlanの4th以降に感じた感触にすごく似ていたのだ。
サウンド・プロダクションもしっくり来ていないように感じられたし、ソング・ライティングも冴えが感じられないというか。
そんなワケで今回の「What Happened to the Heart?」もあんまり期待していなかったというか、ガッカリする位なんだったら聴かないほうが良いかもな、なんて思っていたくらいなのだ。
ところが実際に作品を聴いてみると、これが完全に良いほうに裏切られた。
前のが何だったんだ、というくらいにキレッキレに冴え渡っている。
初来日の渋谷Space Odd公演で感じたこのうえない高揚感がフツフツと蘇ってくるような思いで作品に没頭させられてしまった。
その後彼女は何度も来日しているし、SNS上でもしょっちゅう世界中をツアーに出ている印象で、いつ曲を書く暇があるのかな、なんて思わされるくらいだが、溢れ出んばかりの創作意欲の持ち主なんだろう。
サマーソニックへの出演は決まっているようで、単独があればまた是非観てみたい。
あ、Sarah McLachlanの「Fumbling Towards Ecstasy」は去年30周年のアニバーサリーということで記念ツアーを北米で敢行中とのことで、無いとは思うけど来日があれば必ず行こうと思います。