【今週の一枚】
Arooj Aftab - Night Reign [Verve 2024]
Arooj Aftabはサウジアラビア生まれのパキスタン人シンガー。
外交官の父とエコノミストの母のもと、大都市ラホールで育ち、その後渡米しバークリー音楽大で学んだ。
2014年にデビュー・アルバムをリリース、2021年の3rd「Vulture Prince」
で大きな注目を集め、パキスタン人として初めてのグラミー賞受賞アーティストとなった。
その後名門Verveレーベルに移籍、コラボレーション作をリリースし、今作が移籍後初のソロ作品である。
ジャズ、ミニマリズムの文脈で語られる彼女の音楽だが、英語とウルドゥー語で歌われるそのサウンド・スケープは非常に異質な感触をたたえている。
「夜が支配する」と銘打たれた今回の作品は、正に夜にしか鳴らされない音だと言えるだろう。
James Franciesをフィーチャーしたジャズ・スタンダード「Autumn Leaves」の斬新な解釈にも大いに感銘を受けたが、個人的には「Raat Ki Rani(夜の女王)」が白眉だと思えた。
Chocolate Geniousをはじめ錚々たるゲスト陣のなかにElvis Costelloの名前を見つけたときは驚いたけれど、孤高のギタリストKaki Kingの参加も大いに注目される。
多様な個性を惹き付ける大いなる才能と言えるのではないだろうか。