2024年11月11日月曜日

連続体
















 【今週の一枚】













Nala Sinephro - Endlessness [Warp Records 2024]

カリブ系ベルギー人アーティストNala Sinephroの3年ぶりの2ndアルバム。

1st「Space 1.8」に続いてWarp Recordsからのリリースとなった。

アンビエント・ジャズの旗手として賞賛を集める彼女、モジュラー・シンセとハープを駆使してオリジナリティの塊のような音世界を確立している。

black midiのMorgan Simpson、Ezra CollectiveのJames Mollison、Nubya Garciaの他、新世代UKジャズ・シーンの担い手が多数ゲスト参加した今作、正に旬のアーティストとして確固たる地位を確立していることの証左と言えるのではないだろうか。

全10曲45分の収録時間で構成される本作、トラック名は「連続体」を意味する「Continuum」の1から10で統一されている。

今月25日にはめぐろパーシモンホールにて初来日公演が予定されており、是非足を運びたいところではあるが、気が付いたら完売御礼。

こないだClaire Rousayの前座で観たphewの轟音アンビエント・ノイズにも大いに感銘を受けたけれど、このNala Sinephroもライブ空間でその唯一無二の音世界に身を委ねてみたいものである。






2024年11月5日火曜日

幻想









 

【今週の一枚】













TychoInfinite Health [Ninja Tune 2024]

サンフランシスコを拠点に活動するScott HansenのプロジェクトTychoの4年ぶりの7thアルバム。

ISO50名義で写真家・グラフィック・デザイナーとしても活動する彼だが、その偏執狂的とさえ言えそうな音質への拘りが遺憾なく発揮された仕上がりとなっている。

フィジカルなエレクトロニック・ギターやベースのサウンド、ダイナミックなドラムは電子音とポスト・ロック的な生演奏の化学反応を意識したものと感じたが、驚いたのは全ての楽器をデジタルで演奏・処理しているそうなのだ。

てっきり大型のギター・アンプにエフェクターを繋いで大音量で演奏したものを取り込んで加工しているものと思いきや、そもそも最初からプラグインを使用しているとは。

音の印象とは裏腹にアルバム制作にあたって電子音楽的なプロダクションに回帰しており、特にブレイク、ドラムとリズム楽器にフォーカスして作品作りが進められたそうだ。

大部分の楽曲のプロデュースとエンジニアリングをGrizzly Bear’のChris Taylorが手掛けており、タイトル・トラックの「Infinite Health」にはCautious Clayのヴォーカルをフィーチャー。

本人も最も気に入っているというリード・シングル「Phantom」や終盤の「DX Odyssey」から「Totem」にかけての流れは、さぞやライブで盛り上がるだろうなあ。