2010年6月26日土曜日

口達者

塾通いやなんやでワタシが小学生の頃とは比べ物にならないくらい勉強させられて可哀想なムスメですが、こないだ受けた模試の結果で国語がなんと千六百数十名中一位。
…道理で口が達者なわけや。

【今日の一枚】



S - im not as good at it as you [Own Records 2010]

絶妙な乾き具合。

【今日の一冊】



佐野 眞一 - 遠い「山びこ」 無着成恭と教え子たちの四十年 [新潮文庫]

無着の教育は、山元中学校の正門横に立つ二宮金次郎の銅像をいわば反面教師とするものだった。その銅像が象徴する忍耐と勤勉のなかにかくされたごかましを、子供達と一緒になってあばきだしていくことが無着の教育の根幹だった。いつでも疑問を持て、というのが無着の教えのひとつだった。だが、無着自身も悩んだように、問題意識は問題意識のまま残され、それを解決するだけの知識や技術を、子供達に修得させるまでには至らなかった。かわりに彼らのなかに確実に残ったものは、いつも力をあわせていこう、かげでこそこそしないでいこう、働くことが一番好きになろう、というむしろ二宮金次郎の銅像とも相通ずる勤労観と道徳観だった。彼らは無着が植えつけようとした懐疑の精神は忘れても、無着自らが実践した勤労観と道徳観だけは忘れずに持ちつづけ、それを心のよりどころにひたむきに生きてきた。というよりは東京方面に出た『山びこ学校』卒業生たちの前に立ちはだかった現実は、懐疑の精神もとうにも持てないような過酷な状況だった。資本主義社会の矛盾に目を開かされる教育を受けた子供らは、皮肉にも、最も禁欲的なかたちで、資本主義社会を支える礎石となっていった。

「山びこ学校」の舞台となった山元中学校は去年閉校されてしまった模様。