2024年7月16日火曜日

情趣











 

【今週の一枚】













Claire Rousay - Sentiment [Thrill Jockey 2024]

カナダ生まれでテキサスで育ち、現在はLAを拠点に活動する実験音楽家Claire Rousayによる3年ぶりの4thアルバム。

もとはパーカッショニストとして活動していた彼女だがフィール・レコーディングを駆使したエクスペリメンタル・ミュージックに傾倒していったようだ。

セオドアという友人男性のポエトリー・リーディングで幕を開ける今作、この楽曲と4曲のインストゥルメンタル曲を除いて彼女自身とゲスト参加したLala Lala、Hand Habitsのヴォーカル全てにオート・チューンのエフェクトが施されている。

簡素なアレンジの幽玄フォークが並ぶが、このヴォイス・エフェクトが作品全体に独特で特異なムードをもたらしていて、非常に中毒性が高い。

自らの音楽を「Emo Ambient」と表現していたという彼女、90年代のエモやスロウコアからの多大なる影響を公言しつつも、確固たるオリジナリティを獲得していると言えるだろう。

今回の作品を制作するにあたり、楽曲の寄せ集めではなくアルバム全体として一つのアートに昇華させようとしたのだとか。

サウンド・コラージュやミニマル・ドローン、ポスト・クラシカルなどの手法が随所に散りばめられつつも一枚のアルバムとしての統一感が保たれており、その手腕は実に見事だと思えた。

佳曲揃いの本作にあって3曲目「it could be anything」には特に感銘を受けた次第。