【今週の一枚】
ボルチモアのシンガーソングライターにしてプロデューサーDijonによる4年ぶりのセカンド・アルバム。
気鋭のギタリストMk.geeことマイケル・ゴードンとのコラボレーションなどを通じ音楽通の間でカルト的な人気を誇っていた彼だが、ここに来て一気にメインストリームで注目を集める存在となった。
今年はBon Iverのアルバム「Sable, Fable」にフィーチャー、Justin Bieberのアルバム「SWAG」では楽曲提供や客演を果たすなど、正に旬のアーティストと言えるだろう。
この作品は所謂「キラートラック」が無いにも関わらず、何時までも聴いていたくなるような、一枚のアルバムとして不思議な魅力を放ち、このうえない完成度を誇っている「キラーアルバム」だ。
奇しくも同郷のNourished By Timeが自らの音楽を「ポストR&B」と形容したが、このDijonの奏でる音楽もこれまでのR&Bから逸脱したものと言えるだろう。
Prince、Frank OceanやD’Angeloといった偉大な先達の名前が引き合いに出されているのも彼の音楽のオリジナリティの証左とは言えまいか。
彼の活動は音楽のみにとどまらず、ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作「One Battle After Another」でレオナルド・ディカプリオと共演しているというのだから驚かされる。
これからも彼の溢れんばかりの才能が様々なフィールドで開花し続けると思うと実に楽しみだ。