2011年9月5日月曜日

BoomBoomBoom

【今日の一枚】



Lo-Fi-Fnk - The Last Summer [Popfrenzy Records 2011]

エレポップの魅力のひとつに「馬鹿っぽさ」が挙げられると思うんだけど、その意味ではこのヒト達は一流に「馬鹿っぽい」。



【今日の一冊】



鈴木 大介 - 家のない少女たち 10代家出少女18人の壮絶な性と生 [宝島SUGOI文庫]


 会話の中に、ひたすら「ウザい」の言葉を重ねる遥馨を、単に堪え性のないわがままな性格と思う大人も多いだろう。児童養護施設で我慢を続ければ、また違う未来があったかもしれない。児童自立支援施設で頑張れば、母親との和解の道もあったかもしれない。国立の施設に移送されても、その先、指導を受けつつ見つかる未来があるかもしれない。
 だが彼女を見ていて思う。この子は一般人の一生分にも匹敵するような我慢を、もうすでにしてきてしまったのだ。
 僕は我慢というものは、池の水のようなものだと思っている。ゆっくり水が注ぎこまれる分には、地面に浸透して蒸発し、溢れることはない。大人になれば池そのものが、随分大きくなる。だけど一度いっぱいになってしまった我慢の池は、たとえ一滴の水でも加われば、堪えられずに溢れてしまう。そんなものじゃないか。
 物心のついた頃から、一般人では考えられない苦痛を押しつけられてきた遥馨の我慢の池は、もはや溢れてしまっている。もう、ちょっとの我慢もできない。ウザい、ウザい。もう誰もこれ以上私を否定するな!残った尊厳のかけらが、明日のこともわからない遥馨の逃走生活を支えていた。
 叶うなら、遥馨に生きたいように生きさせてやりたい。142センチで成長の止まってしまった小さな身体に、世の矛盾をいっぱいに溜め込んだ少女。誰がこの少女を「売春家出娘」と否定することができるのか。


想像を遙かに越える壮絶かつ過酷な現実の前に茫然とさせられる。